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12ftクールコンテナで海陸一貫輸送=丸和通運/西久大運輸倉庫/琉球通運

2022.01.25

丸和通運(本社・東京都荒川区、河田和美社長)と西久大運輸倉庫(本社・福岡市東区、伊東健太郎社長)、琉球通運(本社・沖縄県那覇市、喜納秀智社長)の3社は、沖縄発着の貨物を12ftクールコンテナで一貫輸送する「レール&シップ」サービスの本格展開を図る。本土側の鉄道輸送と、福岡~沖縄間の海上輸送、沖縄でのトラック輸送を組み合わせたもので、積替えなしの輸送による品質向上やリードタイム削減が見込まれるほか、CO2排出量削減にも貢献する。今月11日には12ftクールコンテナを用いた北九州港~那覇港の試験輸送を初めて実施し、今後も複数回のトライアルを経て、今年5月の本稼働を目指す。

高い輸送品質を確保、環境負荷低減にも貢献

西久大運輸倉庫と琉球通運では3年ほど前から、常温貨物を対象とした「レール&シップ」サービスを開始。従来は鉄道コンテナから海上コンテナへ積み替える必要があったが、船会社側と調整し、12ft鉄道コンテナをそのまま福岡~沖縄間の船便に積載して一貫輸送できるようにした。本土側の輸送および営業を西久大運輸倉庫、沖縄側を琉球通運が担当し、引越荷物や食品、精密機械など、利用が徐々に拡大。さらなる輸送需要の取り込みを図り、丸和通運の12ftクールコンテナを用いることで、温度管理商品にもサービス対象を広げることが狙いだ。

丸和通運の12ftクールコンテナは、エンジン付き冷凍機で庫内温度を一定に保った輸送が可能。温度設定は20℃~マイナス25℃の範囲にて0・5℃単位で調整でき、生鮮食品や冷蔵冷凍食品、化成品など多様な温度管理商品を長距離輸送できる。2018年には、従来の「UF12A」(容積11㎥)よりも容積を大幅に増やした「UF16A」(同15㎥)をリリース。それぞれ51基、計102基を運用してきたが、今月より、新たに隅金具を設置した「UF16A」の新型タイプを投入したことで、船便への積込みが可能になった。

11日に行われた試験輸送では12ftクールコンテナの庫内温度を18℃に設定した上で、琉球通運の「福岡営業所倉庫」(福岡市東区)にて低温管理商品を積み込み、同日18時に北九州港を出港するRORO船に搭載。那覇新港には13日7時30分に到着し、その後、15日に琉球通運の「TC‐3定温・定湿物流センター」(沖縄県浦添市)に搬入されるまでの、一連の輸送データを収集した。

冷凍機は、鉄道およびトラック輸送時は軽油を使用して稼働するが、海上輸送時は船舶のリーファー電源を用いて対応した。輸送試験では海上航行中における温度管理品質や緊急時対応の確認のほか、丸和通運の12ftクールコンテナの標準装備となっているコンテナの温度や位置情報のリアルタイム動態管理機能についても検証。今後、試験輸送を重ねながら、サービス化への準備を進める。

5月のサービス化予定、全国の通運会社へ提案

今年5月には、新型「UF16A」コンテナの新造分50基がそろう計画にあり、そのタイミングに合わせて、サービスの本格展開を予定する。取扱品目としては、沖縄発の電照菊や、クルマエビやマグロ、イカといった海産物を見込むとともに、沖縄向けでは本土からの青果物輸送などを想定。鉄道と船舶を利用する “環境にやさしい輸送手段”として、通運会社や荷主企業らへの提案を進め、将来的にはデイリー運航の定期輸送サービスにつなげたいという。

西久大運輸倉庫の中野清志・執行役員通運部長兼うきは支店長は「沖縄向けの荷物は物量が豊富で需要も見込まれる。新サービスも全国の通運会社などへ提案していきたい」と展望。琉球通運の知念和也・営業本部営業部部長は「沖縄と本土を結ぶ新しい輸送サービスとしてお客様へ提案するとともに、グループで海産物の輸送に特化した琉球通運航空などにも案内していきたい」と意欲を示す。

丸和通運はコンテナ提供会社としての立ち位置から輸送拡大をサポートし、「様々な通運会社さんにぜひ使ってほしい」と足立裕一・業務管理本部副本部長兼通運部長。12ftクールコンテナは、これまで夏場に輸送のピークを迎えていたが、冬場に物量が増える沖縄発着の温度管理貨物が取り込めれば、コンテナ稼働率の上昇にもつながるという。他方で、沖縄航路以外での利用については「沖縄航路は12ftコンテナでの輸送が多いことから対応するシャーシが豊富だが、他港では12ft対応のシャーシが少なく、難しいのではないか」と見る。

また、試験輸送ではRORO船を用いたが、貨物船への積込みについても船会社側との調整を進める方針。福岡~沖縄は貨物船の就航が多いことから、「実現すればスケジュールや運賃などサービスの幅が大きく広がる」(知念氏)と期待を寄せる。
(2022年1月25日号)


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