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丸和運輸機関/22年3月期2Q 増収減益も通期予想を上方修正

2021.11.09

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川町、和佐見勝社長)が1日に発表した2022年3月期第2四半期の決算は、新型コロナの影響や燃料価格の高騰などで増収減益となったが、通期の業績予想については売上・利益ともに上方修正した。同日オンラインで開かれた記者会見で和佐見社長(写真)は「コロナでマツモトキヨシの物流受託を中心とする医薬・医療物流は厳しい状況が続いているが、ココカラファインとの経営統合で今後はかなり期待できる」と自信を示した。

22年3月期第2四半期の連結業績は、売上高597億4900万円(前年同期比11・1%増)、営業利益43億3300万円(1・0%減)、経常利益45億4400万円(1・5%増)、純利益32億6000万円(5・7%増)だった。

物流事業のセグメント別売上高は、EC・常温物流が「ECラストワンマイル当日お届けサービス」の拡大や新規取引先への物流サービス展開が寄与し、265億9000万円(24・1%増)。食品物流は食品スーパーマーケットや生活協同組合の取扱物量が堅調に推移したことで、224億2900万円(3・1%増)となった。医薬・医療物流は医薬品や化粧品などの主力商品が物量増となり、102億7600万円(1・3%増)。物流事業全体の営業利益は41億9600万円(1・1%減)と減益だった。

通期の業績予想は、売上高を今年5月の発表値から7・9%増の1295億円(前期比15・5%増)、営業利益は5・7%増の88億9000万円(10・9%増)、経常利益は6・6%増の93億8500万円(13・6%増)、純利益は6・8%増の62億5000万円(12・9%増)へとそれぞれ修正した。

ココカラファインの物流まずはマツキヨPBから

和佐見社長は会見で、先月1日に、主要荷主であるマツモトキヨシホールディングスがココカラファインとの経営統合を完了させたことに触れ、「マツモトキヨシのプライベートブランドをココカラファインが販売していく中で、まずはそこから物流の改革をスタートしていく」との考えを示した。
その上で、「マツモトキヨシは100%自社物流だが、ココカラファインは(物流を)ほとんど卸に任せている。ココカラファインの物流も卸に任せるより当社が担当すれば、マツモトキヨシと同じようにもっと効率が上がり、十分収益につながる。いずれにしても1年、2年、3年かけて全国の(物流の)整備に入れればと思っている」と今後の展開を説明した。

「ECラストワンマイル当日お届けサービス」におけるAmazonとの取引状況については、関西エリアに拡大しており、同エリアで現在9デリバリーステーション(DS)の業務を受託。関西エリアは大型のDSが多く、1DSあたりの配送地域も広範囲となることから、車両ベースでは同エリアで毎日500台前後を稼働していることを紹介し、「これから間違いなく増車になる」と強調した。

Amazon向けの3PL業務や幹線輸送業務も「かなり増えている」と和佐見氏。3PL業務は「最近では1フロア1万5000坪、3万坪といった大型物流拠点の話も来ている。今までの物流センターの規模と異なり、DX化した大型拠点で、当社としても、今後は人手不足対策としてそうしたセンター運営をしなくてはならないと思っている」と述べた。

さらに、本社近接地の埼玉県松伏町で開発計画中の大規模食品物流センターは、まず24年に1期棟(延床面積約7・6万㎡、5階建て)センターを稼働した上で、25年に2期棟(延床面積約14・2万㎡、5階建て)を完成させる予定にあることを明らかにした(完成予想図)。ともに低温物流センターとなる見通し。同敷地内には、海外からの技能実習生1000人分の寮も建設を予定し、作業者の確保につなげる。配車面でも「1日1万台以上を稼働できるAIの仕組みを導入して、AZ‐COMネット会員の車も効率よく稼働できるよう考えている」とした。

新たな事業柱として取り組むBCP物流では、「無料の社会貢献型ではなく、きちんと事業化していく」とのコンセプトを改めて示した上で、宮城県仙台市で行政およびフクダアンドパートナーズ社と連携した新たなBCPモデルの構築を進めていることなどを挙げ、事業の順調さをアピールした。

▼丸和運輸機関、「プライム市場」を選択

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川町、和佐見勝社長)は1日開催の取締役会で東京証券取引所の新市場区分で「プライム市場」を選択することを決議した。

同社は東証から受領した一次判定結果で、流通株式数と流通株式時価総額、売買代金は上場維持基準を充たしているものの、流通株式比率は基準を充足していなかった。これを受けて、今回、経過措置の適用を受けるとともに、プライム市場の全基準充足を目指して流通株式比率の向上に取り組むこととした。

なお、基準充足への具体的な計画と取り組みについては「上場維持基準への適合に向けた計画書」を作成して開示する予定。
(2021年11月9日号)


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