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SBSHD、EC向けPF事業に本格参入

2023.01.05

SBSホールディングス(本社・東京都新宿区、鎌田正彦社長)は12月26日、ECプラットフォーム(PF)事業に本格参入すると発表した。EC物流関連業務をワンストップで提供する「EC物流お任せくん」をグループ共通サービスとして展開し、2030年にEC物流関連売上高1000億円を積み増す。また、今後10年間で二十数万坪のEC物流拠点を全国で開設する。

EC物流お任せくんは、物流センターにおける入庫、保管、出荷、流通加工業務から、ラストワンマイル配送やサイト制作・運用、受注管理までEC物流に関するサービスを一括で支援するもの。荷主企業はスピーディかつリーズナブルにEC物流を委託できる上、急な物量の増加などに対してもSBSグループの複数の拠点を活かした分散保管出荷や物流DXで対応。ECに必要となる細かな作業ニーズのみならず、業界・規模別に最適化されたPFと流通加工業務メニューで高品質かつ専門性の高いサービスを受けられる。CMキャラクターには俳優の長谷川博己氏を起用した。

SBSグループのEC物流関連売上高は、Amazonの配送や大塚商会の3PL業務を含めると600億円ほどに上るが、「純粋なEC関連物流に限ると200億円ぐらい」(同社)。この中には、各グループ会社が得意とする業界で受託する3PL事業から派生したEC物流業務や、中小規模の業務などがあるという。

まずはステージ1として、こうした既存のEC物流業務と同様のサービスをグループ横断的に展開しながら、ITのPFを構築する。その上で、ステージ2として24年4月に開設する「野田瀬戸物流センター」(千葉県野田市)の一部にLTを駆使したEC物流の戦略拠点をオープン。さらに、ステージ3として大規模な受託案件にも取り組み、実現に向けて今年から荷主企業の誘致を進める。最終的にはステージ4として全国主要都市に5000~1万坪のEC物流拠点を構え、二十数万坪規模のEC物流拠点体制とする。

ターゲットはECスタートアップからBtoB領域を含む大規模荷主企業までを網羅。BtoBを含めた業態別のEC物流ソリューションを設計し、ITやLT、物流拠点、流通加工、ラストワンマイル、調達物流および貿易のPF構築を見込む。とくに流通加工については、30業界に対応したPFを想定する。カスタマー機能など物流以外のサービスは、グループのマーケティングパートナーなどが担当する。

ラストワンマイルについては、大手宅配会社に委託するとともに、読売新聞社と進める「YCお届け便」も活用する考え。読売新聞の販売店に勤める配達員がEC荷物を運ぶ事業で、現在は1都3県に展開。ユニクロやベルーナなどからも配達業務を受託しており、1日当たりの取扱個数は2万個に上る。同サービスと、現在BtoB向けに展開するラストワンマイル配送ネットワークを併存させながら拡大し、「できるだけ直で配達できるネットワーク作りたい」(鎌田社長)とした。

推進体制としてはグループ内7社(SBSHD、SBS東芝ロジスティクス、SBSリコーロジスティクス、SBSロジコム、SBSフレック、SBSゼンツウ、マーケティングパートナー)で30人ほどのプロジェクトチームを組成。これまで、複数のグループ会社を横断する社内プロジェクトはなかったという。

同日開催された記者発表会で鎌田社長は「SBSグループの売上高は4500億円弱に達しているが、M&Aなしの自律成長で7000億にしようと思っており、2500億円をECと3PLで成長させたい。5年とか10年以内、そんなに時間をかけずにやっていこうと思っている」と展望した。
(2023年1月5日号)


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