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丸和運輸機関、アマゾン向けEC物流さらに拡大

2020.11.24

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)はアマゾンジャパン向けのラストワンマイル配送業務で急成長してきたEC物流事業において、同社のセンター運営および幹線輸送業務の受託を拡大し、さらなる成長を図る。ラストワンマイル配送についても担当地域を新たに関西へ拡張し、同エリアでも年内をメドに300台のトラックを準備する考えにある。

ラストワンマイル配送ではこれまで、丸和運輸機関が本社を置く埼玉県や、東京都、神奈川県など関東地域をメインに受託してきたが、アマゾンジャパンからの要請もあって、新たに大阪府および京都府の配送を受託。まずは年内に300台を用意する計画だが「将来的には何千台規模を入れたい」と和佐見社長は拡大への意欲を示す。ドライバーは、独自の独立開業型モデル「Momotaro・Quick Ace(MQA)」での就業を中心に確保する。

ラストワンマイル配送に加え、今期からフルフィルメントセンター(FC)運営とセンター間の幹線輸送業務にも本格参入する。現在のEC物流事業における売上高の内訳は、ラストワンマイル配送が70%、センター運営と幹線輸送が各15%であり、既に一部のFCや特殊な家電関係の物流センター業務などを4拠点で請け負っているが、「当社が一番強いのは3PLにおけるセンター管理」(同)として、アマゾンジャパンに受託範囲の拡大を提案。「今後、大規模なFCの管理につなげたい」と話す。

幹線輸送についてはこれまでも、FCから丸和運輸機関が配送を担当するデリバリーセンター(DC)までの中型車による移送業務を受託しており、幹線便到着時間の把握や配送工程を見据えた上での幹線トラックへの積込みなど多様な効率化につながっていた。今後は、大型トラックによって行われるFC間の幹線輸送も受託することで、FCの運営と連携した生産性向上につなげる。大型トラックによる運行は集車が困難になりつつあるが、同社では1449社に上る協力会社会「AZ‐COM丸和・支援ネットワーク」の会員企業の力を借りることで輸送力を安定確保する。

「前期まではラストワンマイル配送が中心だったが、センター運営と幹線輸送を合わせると今後の売上増大につながる」と和佐見社長は展望する。利益面でも、FC~DC間における幹線輸送の自社化による効率化効果が、直近決算にも表れている。その上で、AIによる配車組みなどDXにも取り組む。
反面、最大の課題となるのが配送を担う人材の確保だ。和佐見社長は「MQAにはどこよりも高品質なサービスを提供できる教育をしており、彼らの戦力がお客様の強化につながっていることは間違いない」と品質には自信を示すが、そうしたドライバーの働き方改革も切迫した問題となっている。そこで、運賃制度を個建てから車建てへと見直し、就労時間を短縮できるよう対応。「収入自体は減るかもしれないが、家族の理解を得られるよう週休2日制にし、時間当たり単価もこちらの方が上がっている」という。

食品物流ではクールコンテナによる鉄道輸送を強みに

EC物流と併せて、同社が事業の「核」に据える食品物流事業においては、スーパーマーケットなどの小売業に対して商流と物流をサポートする「AZ‐COM7PL」と、14産地と提携する産地直送支援を強化。とくに産直においては、長距離トラックの手配が難しくなる中、丸和グループで豊富なノウハウを持つ鉄道輸送を有効に活用。「全国で当社が一番持っている」(和佐見社長)という鉄道クールコンテナを用いて、北海道や九州などの生鮮品を首都圏などへ届ける。

また、注力を進めるBCP事業においては企業や行政との災害支援協定を締結しながら、備蓄管理など平時の業務も受託することで事業化を図る。

2Q決算は過去最高更新、通期目標も上方修正

丸和運輸機関が2日に発表した2021年3月期第2四半期の連結業績は売上高537億6800万円(前年同期比13・0%増)、営業利益43億7600万円(27・6%増)、経常利益44億7700万円(26・5%増)、純利益30億8400万円(26・4%増)となり、売上、利益とも過去最高を更新した。

新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、医薬・医療物流でインバウンド需要の落ち込みに伴う物量減が見られたものの、衛生用品の出荷増や、巣ごもり需要によるEC・常温物流の取扱増、内食・中食需要における食品物流の伸長が売上利益ともに寄与し、マイナス分を吸収した。

これに伴い、通期の連結業績予想も今年5月発表時の数値を上方修正し、売上高を当初発表値から10・0%増の1100億円(前期比11・8%増)、営業利益を7・9%増の 79億円(9・8%増)、経常利益を8・0%増の81億円(9・6%増)、純利益を7・9%増の52億1000万円(8・1%増)へそれぞれ引き上げた。

下期の見通しについて和佐見氏は「仮にコロナ禍が収束したとしてもインバウンドはすぐには戻らず業績は大変な状況。成長数値を発表していくが、皆が努力しないと成果は表れない」とした上で、「今から人を集めておかないとお客様の要請に応えられない。生協さんからも非常に期待を寄せられており、労働集約型産業である中、人を確保しないと成長できない」との考えを改めて強調した。
(2020年11月24日号)


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