SIP地域物流で推進協議会を発足=セイノー情報サービスなど
セイノー情報サービス(本社・岐阜県大垣市、鳥居保徳社長)などは5日、「SIP地域物流ネットワーク化推進協議会」の設立発起人会をWebで開催した。同協議会は、内閣府が推進する「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」で進めてきた「地域物流」モデルの研究活動を引き継ぎ、社会実装につなげることを目的とするもの。来月16日の設立総会を経て年3回のワーキングを行い、参加企業を募りながら、2023年を目途に共同出資体(ジョイントベンチャー)へ移行する計画にある。
今回、協議会へ移行する「地域物流」の取り組みは、SIP傘下で、情報を活用したスマート物流の構築を目指す「スマート物流サービス」プロジェクトにおける4研究テーマのひとつ。20年度より活動を開始し、少子高齢化を背景に集配困難となりつつある地域で物流の持続可能性を確保するため、地域内の中堅・中小企業同士の連携と協働による中ロット貨物のパレット共同輸配送モデル構築を進めてきた。
20年度には岐阜県内に工場を構える異業種メーカー3社(アピ、美濃工業、未来工業)の千葉県への幹線輸送において、メーカー側の出荷情報と物流会社3社(西濃エキスプレス、ハートランス、未来工業)の空トラック情報を事前にマッチングすることで積載率を高める実証実験を実施。それぞれの情報は早期に商流側、および物流側の「需給プラットフォーム」へ集約して活用され、将来的にはこうしたデータを用いた需給予測も可能にしていくという。
この実証実験の結果、積載率は22%向上、労働拘束時間は18%削減できたことから、今年度は規模を拡大した実証実験を8~9月に行い、現在は結果を集計中にある。並行して、実証実験で構築した仕組みの社会実装に向けて、今回の協議会を発足させ、まずは東海~関東間の共同輸配送ネットワークを構築した上で、関西など全国へ展開していく考えだ。
協議会の事務局は、SIPの「地域物流」モデル事業で研究責任者を務めるセイノー情報サービスが担当し、座長にはローランド・ベルガーパートナーの小野塚征志氏、運営委員長には東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授が就任する。入会は企業・団体・個人を問わず可能。7月15日より申込を受付けており、今月1日時点の会員数は物流会社など74者となっている。なお、初年度である今期は年会費を徴収せず、来期以降は活動内容などを鑑みて決定する。
5日の設立発起人会で挨拶した小野塚座長は、「スマート物流サービスの基盤となる本協議会の座長を務めることは大変光栄。商習慣の見直しを含めた、かつてない大胆かつ包括的なイノベーションを推進する責任の重さを痛感している。平坦ではないが、サステナブルな物流の実現に貢献していきたい」と抱負を述べた。
西成委員長も「『シェアリング・マッチング・アジャスティング』の考え方で共同輸配送ネットワークを構築することが協議会の重要な目的。経産省ではフィジカルインターネットを本格化させる取り組みも始まり、そちらにも大いに期待している」とコメントした。
(2021年10月12日号)