公取委、最賃引き上げで荷主との取引影響を調査
公正取引委員会は8日、最低賃金の引き上げ等に伴う不当なしわ寄せ防止に向けた中小事業者等取引公正化推進アクションプランを公表した。9月の「価格交渉促進月間」の活動の一環として、①下請法等の執行強化②相談対応の強化③不当なしわ寄せ防止に向けた普及啓発活動の拡充・強化――に取り組む。最賃引上げによる荷主と物流事業者への取引への影響も調べる。
公取では、荷主による物流事業者に対する優越的地位の濫用を効果的に規制する観点から「特定荷主が物品の運送又は保管を委託する場合の特定の不公正な取引方法」を指定し、荷主と物流事業者との取引の公正化に向けた調査を行っているほか、優越的地位の濫用規制および下請法に関する実態調査を行っている。
アクションプランを踏まえ、2021年度の荷主と物流事業者との取引に関する書面調査やその他の優越的地位の濫用規制および下請法に関する実態調査においても、最賃の引上げ等に伴う影響や、取引先との価格交渉の状況に関する質問を追加するなど、情報を積極的に収集する。
また、最賃の引上げ等に伴い特に問題となることが想定される「買いたたき」の指導実績が多い業種やコロナ禍において特に影響が出ているとされる業種向けの調査拡大、最賃の引上げを含む労務費や原材料価格の上昇の影響に関する質問追加等を行い、下請法違反被疑事実に係る情報収集に関する取り組み強化を行う。
最賃引き上げ等を勘案しない下請代金の不当な設定を含む下請法違反行為等への厳正な対処を行うほか、不当なしわ寄せに関する下請相談窓口の設置、中小事業者等のためのオンライン相談会の実施、「買いたたき」に関する下請法上の考え方の明示および周知徹底、11月の「下請取引適正化推進月間」における周知活動の拡充・強化にも取り組む。
(2021年9月14日号)