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幹線輸送、ドライバー2.7万人が不足=国交省

2021.08.03

国土交通省はこのほど、「物流生産性向上に資する幹線輸送の効率化方策の手引き」を策定した。今後、トラックドライバーの働き方改革が進展し、輸送量が変わらなかった場合には約2.7万人のドライバーが不足すると試算。手引きでは効率化に資する取り組みとともに、15社の優良事例を紹介した。

幹線輸送で必要なドライバーは全体の2割

幹線輸送の効率化を促進するために行った調査やヒアリングの結果を集約した。手引きでは、幹線輸送を「積み替えや流通加工を行う拠点までの区間で比較的大ロットで輸送されもの」を目安とし、2024年4月から罰則付きの時間外労働時間の上限規制(960時間)がドライバーに適用されることを念頭に、現状認識と、今後の見通しを定量的に提示した。

16~18年度の3年間の輸送量平均値をもとに、300㎞以上の輸送距離で試算したところ、幹線輸送で現在必要なドライバー数は約15万人と試算。これは、国勢調査に基づくトラックドライバー数の推計値である約76万7000人の2割に相当する。

「手引き」には15社の優良事例を掲載

今後働き方改革が進展し、ドライバーの年間平均労働時間が2604時間から全産業平均の2136時間に短縮された場合(1日あたりの労働時間=10.7時間)の必要人員数も算出。輸送量などの条件が変わらない場合、必要となるドライバー数は約17・7万人となり、約2.7万人が不足すると推計した。

将来のトラックによる貨物輸送量は減少傾向が見込まれ、労働条件が現状のままであれば貨物量に比例して必要なドライバー数は減少する。しかし、他産業と同等な労働条件とした場合、貨物量が将来的に減少しても、30年度頃はまだ現状よりも多い幹線輸送のドライバーが必要となるとの見通しを示した。

「手引き」には荷主や物流事業者が効率化を行う際に役立つ情報や、実際の幹線輸送や共同配送の優良事例を紹介。物流事業者・荷主から、大西物流、茨城乳配、オプラス、丸全昭和運輸、高伸物流、江崎グリコ、F‐LINE、鈴与カーゴネット、NEXT Logistics Japan(NLJ)、サトウロジック、熊本交通運輸、東レなど15社の取り組みが掲載された。
(2021年8月3日号)


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