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コロナ禍で物流子会社のM&A加速

2021.06.01

物流子会社のM&Aが増えている。昨年11月にSBSホールディングスが東芝ロジスティクス(現・SBS東芝ロジスティクス)を子会社化する事例が大きな注目を浴びたが、それ以外にも、沖電気工業や長瀬産業、明治、古河電気工業といった大手企業で物流子会社株式を譲渡する動きが増えている。コロナ禍でサプライチェーン再構築の動きが進む中、子会社の譲渡を通じて物流業務を3PL大手の委ねる動きが加速している。

センコー、SBSが〝台風の目〟に

昨年10月以降、大手荷主企業が物流子会社を3PL大手に譲渡する動きが増えている。
沖電気は昨年10月にDHLサプライチェーンと5年間のLLP契約を締結し、子会社「OKIプロサーブ」のロジスティクス部門をDHLが承継した。DHLは2013年にもコニカミノルタとLLP契約を結び、コニタミノルタ物流の事業を承継しており、今回も同様の方式で沖電気の物流を包括受託した。

センコーは昨年12月に化学専門商社である長瀬産業の物流子会社「ナガセ物流」の株式の過半数を取得したほか、アルミ総合メーカーであるUACJの子会社「UACJ物流」の株式66・7%を取得。センコーはコロナ禍においても、物流子会社だけでなく、総合卸・小売である寺内を買収するなどM&Aを積極的に展開している。
センコーと並んで物流子会社M&Aで〝台風の目〟となっているのが、SBSHD。東芝ロジ買収に続き、今年1月には自動制御機器であるSMCの物流子会社「東洋運輸倉庫」の全株式を取得。さらに、4月には古河電工の子会社「古河物流」の株式66・6%を取得する契約を結んだ。

このほか、明治は4月、チルド品を中心とした食品配送センター事業を営む100%子会社「フレッシュ・ロジスティック」の全株式を、食品物流を展開するアサヒロジスティクスに譲渡した。

子会社統合で効率化、〝足回り〟強化も

企業内に複数ある物流子会社を合併・統合する動きもある。トクヤマは昨年10月、徳山海陸運送とトクヤマロジスティクスを統合。今年1月には存続会社である徳山海陸運送の社名を「トクヤマ海陸運送」に変更した。

食品卸大手の国分グループ本社は、グループ内で物流事業を展開する国分ロジスティクスと日本デリカ運輸を統合した。経営資源を統合することで、さらなる効率化実現とコスト適正化などを目指す。
医薬品卸大手の東邦ホールディングスは、都内にある全額出資の運送子会社3社を統合し、社名を「共創物流」に変更した。

このほか、日本山村硝子の子会社で外販向け3PL事業を展開する山村ロジスティクスは、大阪にある運送事業者2社の全株式を取得する契約を締結。今年9月にも株式を取得し、運送事業を拡充につなげる。
(2021年6月1日号)


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