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【巻頭レポート】管理一元化を目指した統合・再編が増加

2022.09.29

物流子会社/荷主系物流会社で、管理や事業の一元化を目的とした統合・再編が活発になっている。荷主企業内に複数ある物流子会社を統合する動きが増えている一方、荷主企業本体が物流子会社を吸収合併する動きもある。いずれの場合でも、サプライチェーンの一元管理を通じてコントロールを強化したい荷主企業の思惑や狙いがみえる。最新動向を追ってみた。

複数ある物流系会社の統合が加速

数ある再編事例の中で注目されるのは、荷主企業やグループ内に複数ある物流子会社を合併・一本化する動きだ。トヨタ紡織が昨年10月に物流系の全額出資子会社2社を統合するとともに社名を「TBロジスティクス」に変更。いすゞ自動車も同じく昨年10月、いすゞライネックスがアイパックを吸収合併する形で物流子会社を統合した。いすゞ自動車の事例では、運送元請けや倉庫業などを展開するいすゞライネックスと、KD(ノックダウン)梱包事業を手がけるアイパックを統合することで、梱包~物流の一貫体制を強化することが狙い。さらに、今年5月にはいすゞライネックスの社名を「いすゞロジスティクス」に変更した。

ビックカメラは今年4月、18年に子会社化したエスケーサービスを「ビックロジサービス」に社名変更したのに続き、9月にはビックロジサービスとジェービーエスを統合。存続会社はビックロジサービスで、物流関連の業務を同社に一本化した。

子会社新設、本体吸収ともSC強化が狙い

サプライチェーンの強化を目的に、物流子会社を新設する動きも目立つ。日野自動車は今年4月、「日野グローバルロジスティクス」を発足させ、グループの物流業務を集約・一本化。全額出資子会社である日野ロジスパックを社名変更するとともに業容を拡大したもので、今後、グループの物流部門の業務を新会社に段階的に移管することで、業務効率化や意思決定の迅速化を図る。

総合ディスカントストアを展開するミスターマックス・ホールディングスも、11月にグループの物流業務を担う新会社を設立。事業会社であるミスターマックスの物流部門を分割し、新会社に承継させる。グループの集荷、在庫管理などの物流業務を包括的に担うことで、グループの物流効率化を加速させる。

新設による物流効率化がある一方、物流子会社を本体に吸収することでサプライチェーンの一体化を進める事例もある。オリンパスは4月、全額出資子会社であるオリンパスロジテックスを吸収合併し、本体SCM部門と統合した。部品調達から顧客への納品までの全体を統合したサプライチェーン改革を進める中で、現業部門と戦略立案機能を統合することで、全体最適を実現する。また、古河電池は11月、全額出資子会社のエフビーパッケージを本体に吸収する予定。

物流子会社を巡るM&Aも引き続き活発

このほか、3PL事業者による物流子会社の買収、荷主による運送事業者の買収といったM&Aも依然として盛んだ。古河電気工業は昨年12月に物流子会社である古河物流の株式66・6%をSBSホールディングスに売却し、社名を「SBS古河物流」に変更した。また家電量販のケーズホールディングスは家電配送・工事などを委託していた運送事業者を完全子会社化して自前の輸送力を強化。安川電機は孫会社(安川ロジステックの子会社)である安川トランスポートをニッコンホールディングスに売却。明治も関西地区で食品共配センターの運営を主業務としていた子会社を三菱食品に売却した。

さらに、今年8月には通販大手のベルーナが、DM発送代行や物流センター運営事業を展開しているレーベルグループ3社の全株式を取得した。物流部門を強化することでEC事業の拡大に対応していく狙いだ。
(2022年9月29日号)


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