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物流子会社、〝物流一元化〟目指した再編加速?

2022.04.28

物流子会社/荷主系物流会社の再編が引き続き活発だ。新設や荷主本体への吸収、合併・統合、売却など依然として様々な動きがあるが、カギとなるのはサプライチェーンの統合管理を見据えた再編が増えていること。子会社の新設、子会社同士の合併、荷主本体への子会社吸収など一見すると動きはばらばらだが、物流のコントロール一元化という共通項がうかがえる。背景には、コロナ禍でサプライチェーンの混乱が長期化する中、物流を統合的に管理したいという荷主企業の思惑がありそうだ。

荷主企業内に複数ある物流系子会社を統合

事例の中でまず目立つのは、荷主企業傘下に複数ある物流子会社を合併・一本化する動きだ。トヨタ紡織が昨年10月に物流系の全額出資子会社を統合したほか、いすゞ自動車も同じく昨年10月、いすゞライネックスがアイパックを吸収合併する形で物流子会社を統合した。このうちいすゞ自動車の場合は、運送元請けや倉庫業などを展開するいすゞライネックスと、KD(ノックダウン)梱包事業を手がけるアイパックを統合することで、梱包~物流の一貫体制を強化することを狙いとしている。

新設、本体吸収とも物流管理一本化が目的

日野自動車は今月1日付で「日野グローバルロジスティクス」を発足させ、グループの物流業務を集約・一本化した。全額出資子会社である日野ロジスパックを社名変更するとともに業容を拡大したもので、今後、グループの物流部門の業務を新会社に段階的に移管することで、業務効率化や意思決定の迅速化を図る。

日野自動車の事例が子会社の新設による物流業務の集約・一本化である一方、物流子会社を本体に吸収することで連携強化による一体運営を進める事例もある。オリンパスは今月1日付で全額出資子会社であるオリンパスロジテックスを吸収合併し、本体SCM部門と統合した。部品調達から顧客への納品までの全体を統合したサプライチェーン改革を進める中で、現業部門と戦略立案機能を統合することで、全体最適を実現するのが狙いだ。

物流子会社を巡るM&Aも引き続き活発

このほか、荷主企業による運送会社の買収や物流子会社の売却といったM&Aも依然として盛んだ。古河電気工業は昨年12月に物流子会社である古河物流の株式66・6%をSBSホールディングスに売却した。また、家電量販のケーズホールディングスは家電配送・工事などを委託していた運送事業者を完全子会社化して自前の輸送力を強化したほか、安川電機は孫会社(安川ロジステックの子会社)である安川トランスポートをニッコンホールディングスに売却。明治も関西地区で食品共配センターの運営を主業務としていた子会社を三菱食品に売却した。
(2022年4月28日号)


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