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センコーGHD/21年3月期 コロナ下も12期連続の増収増益に

2021.05.20

センコーグループホールディングス(本社・東京都江東区、福田泰久社長)が14日に発表した2021年3月期の決算は、18期連続の増収、12期連続の増益を達成した。17日にオンライン方式で開催された決算説明会で福田社長は「新型コロナウイルスの感染拡大による非常に厳しい経営環境となったが、グループを挙げて拡販とコスト改善・生産性向上、経費削減に取り組んだことに加え、M&Aによる連結子会社の拡大などもあり増収増益となった」と述べた。

21年3月期の連結業績は、売上高5724億500万円(前期比0・4%増)、営業利益 215億2000万円(4・2%増)、経常利益222億3000万円(7・2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益142億4000万円(17・9%増)と堅調に推移した。

セグメント別の業績は、主力の物流事業が売上高3873億5000万円(1・4%減)、セグメント利益194億100万円(8・7%増)。ディスカウントストアやドラッグストアなどのチェーンストア関連の物量増があったが、新型コロナの影響で住宅、ケミカル、学校給食・外食産業向けの冷凍冷蔵食品の取扱いが大きく減少した。一方、利益面では拡販や経費削減、コスト改善・生産性向上への施策が進捗した上、UACJ物流とセンコーナガセ物流の連結子会社化で増益となった。

商事貿易事業は宅配ニーズの増加に伴う日用品の販売増、家庭紙の価格是正の推進などにより、売上高は1618億2000万円(0・3%増)、セグメント利益は30億3500万円(43・2%増)。その他事業はプロケアおよび寺内の連結子会社化などで売上高は232億3500万円(45・3%増)だったが、新型コロナの影響からホテル、フィットネスジムなどの利用者が減少し、セグメント損失は6100万円の赤字(前期は14億1900万円の黒字)だった。

コロナ影響額は期を追うごとに縮小し、全体では売上高でマイナス205億円、営業利益でマイナス45億5000万円だった。

22年3月期決算は増収2ケタ増益を予想

22年3月期通期の連結業績予想は売上高6250億円(9・2%増)、営業利益246億円(14・3%増)、経常利益250億円(12・5 %増)、親会社株主に帰属する当期純利益145億円(1・8%増)の増収2ケタ増益の見込み。新型コロナの影響はマイナス分を前期影響の復元分で吸収し、売上高でプラス122億円、営業利益でプラス11億4000万円となる見通し。設備投資額は297億2300万円(前期は333億2200万円)の計画とした。

物流事業は売上高4234億4000万円(9・3%増)、営業利益219億円(12・9%増)の予想で、主な増減要因は売上拡大効果で売上高216億円、営業利益27億6000万円、M&Aで売上高149億円、営業利益2億5000万円など。今期も積極的な拡販を進め、期中には3拠点を開設するとともに、来期以降も物流センターの新設が続く。
営業拡大のポイントとしては、流通ロジスティクス分野で大手ドラッグストア企業の事業拡大に対応した最新鋭の庫内設備を導入した物流センター業務を受託。ディスカウントストア向けでは物流受託を国内のみならず海外にも展開する。スポーツアパレル向けでは、11月新設の「印西第2ロジスティクスセンター(完成予想図)」(千葉県印西市)で新規案件が稼働する予定。3温度帯チェーン物流では、関東でスーパーマーケット向けの構内・配送業務をスタートした。

EC物流では大手EC事業者から現在8拠点、計5万㎡の倉庫内業務を受託。危険物や冷蔵など、EC事業者自身では扱いにくい専門性の高い物流センター業務を請け負っており、今期は秋ごろをメドに危険物倉庫を1拠点開設するほか、西日本地域では中型品の物流拠点業務受託を交渉中。今後、幹線輸送やBtoCのラストワンマイル配送を含め、さらなる拡大を図る。
住宅ケミカル物流ではEVやスマート住宅の普及を想定して蓄電池物流のプラットフォーム構築と取扱拡大に注力する。直近の売上高は約5億円ほどだが、蓄電池物流の市場規模が35年には1200億円になると試算し、来期スタートする新中期5ヵ年経営計画内ではその10%に当たる120億円を目指す。

さらに、今年1月から連結化したUACJ物流とセンコーナガセ物流、および4月から連結化した豪Air Roadとの事業連携を強め、中でもセンコーナガセ物流では、手薄な中部・関西地域で危険物の保管・配送業務を誘致し、化学品の保管配送機能強化につなげる。なお、現中期5ヵ年経営計画におけるM&Aの売上高への効果額は約1000億円に上るとした。

また、軽貨物便事業については前期末時点で車両台数は1025台に達し、今期は2000台へ引き上げる方針。売上規模は前期実績で36億円となり、今期は72億へ倍増させる計画とした。
(2021年5月20日号)


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