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丸和運輸機関/21年3月期 EC伸長で売上高1000億円突破

2021.06.01

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)の2021年3月期の連結決算は、コロナ下において、EC物流事業およびスーパーマーケット物流や生協宅配を中心とした食品物流事業が伸長し、売上高は1000億円を突破した。5月24日にオンライン方式で開催された決算説明会で、和佐見社長は「創業時からの目標である1000億円を達成し、次の3000億円を目指して組織を強化するとともに営業力や現場力を高め、同業他社に打ち勝つ企業にしたい」とさらなる成長への意欲を示した。

21年3月期の連結業績は売上高1121億1300万円(前期比14・0%増)、営業利益80億1900万円(11・5%増)、経常利益82億6200万円(11・8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益55億3600万円(14・9%増)の2ケタ増収増益を達成した。

主力の物流事業におけるセグメント別の売上高は、EC物流事業がAmazon向けラストワンマイル配送業務の需要増や新規受託3PL・輸配送業務が寄与したことで460億7700万円(22・5%増)と大幅に伸長。食品物流事業もスーパーマーケットの物量増から447億9300万円(13・6%増)と好調だった。医薬・医療物流はドラッグストアなどのインバウンド需要低迷に伴う物量減で202億8300万円(0・4%減)と微減した。

利益面では新型コロナによる大幅な物量変動に対して適正な車両・人員配置を行えたほか、日次決算マネジメントを強化したことが奏功した。

22年3月期の連結業績予想は売上高1200億円(7・0%増)、営業利益84億1000万円(4・9%増)、経常利益88億円(6・5%増)、親会社株主に帰属する当期純利益58億5000万円(5・7%増)。新型コロナ影響の見通し不透明さに加え、前期上期にあった巣籠もり需要に伴う特需の剥落などを見越して「比較的保守的な数字」(同社)としたが、増収増益を決算維持する見通し。

設備投資額は、ノンアセット型の経営としてきた前期までの実績を大幅に上回る104億8000万円を予定。とくに、埼玉県松伏町に建設を予定する大規模食品物流センターの建設用地(11・6万㎡)取得費用をはじめとする、新規・既存物流センターへの投資額には60億5100万円を計上した。

具体的な事業戦略では引き続き、「EC物流」「食品物流」「BCP物流」の3事業を注力分野に据える。

EC物流事業では「Amazonの成長が当社の成長につながっていることは間違いない」として同社業務へ経営資源を集中し、前期から開始した同社のセンター間幹線輸送とセンター運営業務の受託拡大を継続する。ラストワンマイル配送業務でも昨年10月より関西へエリアを拡大しており、今後も積極的な展開を図る。昨年9月には、EC物流・倉庫運営に実績を持つ日本物流開発を完全子会社化したが、同社についても現在5拠点の物流センターを2ケタまで増やし、売上高も現在の40億円から25年度には100億円まで引き上げるとした。

食品物流事業ではスーパーマーケット向けの産直支援サービスを強化するほか、今年2月には千葉県市川市食品向けの新物流センターが稼働。松伏町の大規模食品物流センター建設計画も進める。
BCP物流事業では大手荷主企業や自治体との協定締結を推進。今年1月の北陸豪雪では大手CVSチェーンからの要請を受けて、非被災地から5日間で延べ50台の車両を手配し、被災地に向けた広域支援を実施したことを報告した。このほか、東北大学との連携や有識者の協力を得たBCP研究も継続する。

重点課題に据える人材確保では今年4月の新卒採用実績こそ454人となったが、毎年600人の新卒採用を目標に据え、今後5年間で新卒および中途採用者計5000人を雇用する計画。併せて、海外技能実習生の受入体制強化に向けてAZ‐COMグローバル協同組合も設立した。和佐見社長は「(成長には)なにより労働力をどう確保するかで、コスト負担も増すが、日次決算をはじめとする現場の管理をしっかり行っていく」と述べた。

各業務におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)化も推進し、AI配車システムなども採用。DX人材の育成にも注力するとともに、BCP物流におけるドローンの活用やSCMの最適化なども研究していく。
(2021年6月1日号)


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