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日本通運、来年1月のHD体制移行を正式決定

2021.05.11

日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は4月28日に開催した取締役会で、来年1月の持株会社体制への移行を正式に決議した。持株会社の社名は「NIPPON EXPRESS ホールディングス株式会社」とした。6月29日の定時株主総会での承認を経て、来年1月4日に単独株式移転により純粋持株会社を設立する。同日、オンライン会見に出席した堀切智副社長は「当社がグローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニーの実現に向け飛躍的に成長していくためには、グローバル市場を主戦場にしていく必要がある」とした上で、「その実現にはグループ経営戦略機能と事業推進機能を分離するホールディングス体制への移行が最適と判断した」と述べ、体制変更の意義を強調した。

HD体制で意思決定を加速 SDGs、DX推進も

日通はグループ長期ビジョンの中で「グローバル市場で存在感のあるロジスティクスカンパニー」の実現を目指している。また、SDGsの達成に向けたサステナビリティ経営やDXの実現も掲げており、「目標実現に向け、事業を行いながら親会社としてスピーディーにグループの戦略構築を行うのが困難になりつつあることから、HD体制という新たなフォーメーションに変革する」(堀切氏)と説明。新体制の下では「日本通運という個社が強くなるだけでなく、日本を含めた世界各国のグループ各社が協調し、グループ全体として成長していく」と展望した。

HD体制では、グループの事業全体を俯瞰して戦略を構築する持株会社「NIPPON EXPRESSホールディングス」と各事業会社が連携をとりながら、それぞれの機能を強化していく。HD傘下には、日本通運をはじめ、海外4極(米州、欧州、東アジア、南アジア・オセアニア)の統括会社、日通商事など物流サポート事業会社などを配置。新体制における日本通運は、これまで通りグループの中核事業会社であるとともに、日本国内のロジスティクス事業を束ねる機能を果たす。一方、外販比率が高く、独自の強みのある子会社は、事業会社である日本通運以外のグループ会社との連携とシナジー創出を両立するため、ホールディング会社の直下に配置する。

今後のHD体制でのグループ各社の再編については、第一段階では新体制への移行を着実に進めることを主眼とし、大きな体制変更は行わない。その上で第二段階として「グローバルな成長を実現でき、より強固なグループ経営を行うための体制に向け、具体的なビジョンを描きながら再編を継続的に行っていく」(堀切氏)。再編の時期や詳細については、会社分割などを選択肢に含めながら検討していく。

グローバルでのプレゼンスを意識した社名に

今回、持株会社の社名を「NIPPON EXPRESSホールディングス」に決定した背景には、グローバルでのプレゼンス向上を強く意識したことがある。同社広報部によると、「グローバルを意識した社名とすることと、『日本通運』のレガシーを引き継ぐ社名であることという両面から検討した結果、英語社名であるNIPPON EXPRESSを使った名称に決まった」という。同社では昨年から長期ビジョン実現に向けたブランド戦略の検討を開始しており、社名についての議論も続けてきていた。

決算期もグローバルスタンダードの12月に統一

また、HD体制への移行とともに、決算期を変更することも決定。HD体制への移行目的がさらなるグローバル化の加速であることを踏まえ、日本通運および国内連結子会社の決算期を現在の毎年3月31日からグローバルスタンダードである12月31日に変更し、グループ内での決算期を統一する。それにより経営情報の適時・的確な開示による経営の透明性の向上を図るとともに、海外競合会社との業績比較を容易に行いやすくする。決算期変更の経過期間となる2021年12月期(第116期)は21年4月1日から同年12月31日までの9ヵ月決算となる。
(2021年5月11日号)


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