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スズケン/武州製薬、スペシャリティ医薬品のPF構築へ

2021.04.22

スズケン(本社・名古屋市東区、宮田浩美社長)と武州製薬(本社・埼玉県川越市、岡田哲一社長兼CEO)は19日、日本市場への新規参入を目指すスペシャリティ医薬品メーカーの製品上市(新薬の市場販売)を総合支援するプラットフォームの構築に向け、業務提携契約を締結した。スズケングループの物流センター内にて武州製薬が受託製造を行うことで、物流と製造をワンストップでサポートする。

武州製薬はグローバル市場対応型の受託製造専門企業の国内大手として医薬品やバイオ医薬品、治験薬の受託製造を担い、世界各国の「医薬品の製造管理及び品質管理の基準認証(GMP)」を取得するとともに輸出申請国は43ヵ国以上に上る。スズケングループでは、スペシャリティ医薬品に特化したコーディネート事業を展開するエスディ・コラボをはじめ、スペシャリティ医薬品の国際輸送や日本国内流通のネットワークを運用している。

製薬業界では近年、革新的なスペシャリティ医薬品の上市増加に伴い、日本市場への新規参入を目指す医薬品メーカーが増加傾向にある。これらのメーカーは製造工場や物流センター、流通ネットワークなどのアセットを持たず、最小限のリソースで日本市場への参入を図るケースが多く、製造・メーカー物流・医薬品卸などの委託パートナーの選定を短期間で実施する企業が多数を占めるという。

こうしたニーズに対し、今回の提携では、スズケンが新設予定の「首都圏物流センター」内に武州製薬の製造業務受託エリアを設置。両社が協働して、スペシャリティ医薬品の医薬品製造販売業者(MAH)コンサルティングから輸入、検査、製造、メーカー物流、卸流通、市販後調査および患者サポートまでワンストップでサポートする。

また、スズケングループの中央運輸が運営する「加須医薬品共同物流センター」(埼玉県加須市)内にも「武州製薬加須パッケージングセンター(仮称)」を設置し、武州製薬が受託製造を開始。同所内の保冷エリア約1460㎡を活用し、武州製薬が得意とする検査、表示、包装といった二次包装を中心とした受託製造を行う。

さらに、エスディ・コラボを含むスズケングループ各社と武州製薬が情報連携や機能開発、人材交流を進め、武州製薬の業務委託先(所在地・ノースカロライナ州)と共同で、日本市場への新規参入を計画するスペシャリティ医薬品メーカーへの提案営業を開始する。

首都圏物流センター新設、総投資額200億円

スズケンでは19日、埼玉県草加市に新設する「首都圏物流センター(完成予想図)」の計画も発表した。同所は、武州製薬との業務提携により施設内に製造業務受託およびメーカー物流エリアを併設した、業界初の複合型物流センターとなる。竣工は来年4月下旬、稼働は2024年3月を予定。設備投資総額は概算で200億円を見込む。

首都圏物流センターは「プロロジスパーク草加」(敷地面積 6万8631㎡、延床面積15万1643㎡)内の2~3階部分に開設し、延床面積は6万7033㎡、保管可能品目は3万7000品目となる。建物には免震構造を採用し、連続72時間稼働可能な自家発電装置を配備。有事には災害拠点病院への商品供給に対応できる保管・配送スペースも確保する。
センター内には武州製薬の製造業務受託エリアを設け、製造からメーカー物流・卸物流までのサプライチェーンを集約することで製品移動を最少化し、厳格な温度管理と効率化、最適エリアの在庫コントロールを実現するとともに、製造業務と物流業務のワンストップサポートを提供する。

また、庫内には最先端のロボット技術を導入して作業を自動化・省人化し、物流精度向上と効率性を両立するとともに、非接触による納品や検品業務の省略化などコロナ禍における新たなニーズや環境変化に対応した、より高品質かつ効率的な流通を実現する。

併せて、スズケングループが保有する12の物流拠点と連携することで、輸配送の共同化をはじめとするメーカー在庫と卸在庫を連動させた流通在庫の最適化や業務生産性向上を可能とし、首都圏物流センターを中心とした首都圏BCPネットワークの構築により、有事の際も医薬品流通を途絶えさせない体制を構築する。

スズケンでは、「今後も安心・安全で安定的な医薬品流通を社会的使命とする企業グループとして、医療流通プラットフォームのさらなる充実に努めるとともに、グループ各社および提携企業が有する機能やノウハウとの融合による新たな価値の創造に挑戦し、“医療と健康になくてはならない存在”の実現を目指す」としている。
(2021年4月22日号)


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