【EC物流】アパレル業界で段ボール規格を標準化、7月から本格稼働
日本アパレル・ファッション産業協会(JAFIC、廣内武会長)はアパレル製品の店舗納品に使用する段ボール箱の標準サイズを定め、7月をメドに共同購買をスタートさせる。SCM推進委員会内の物流小委員会を中心に検討や導入検証を進めてきたが、今月中に仕入れ先業者を入札で決定した上で、購入企業を募る。段ボールサイズはコンビテナー(カゴ車)やトラックの内寸に合わせた規格としており、物流の効率化のみならず、アパレルメーカーらによる共同配送の拡大にもつなげたい考えだ。
今回定められた標準規格は「重衣料・シャツ・ニット・カットソー」用と「インナー・ソックス・雑貨」用の2種類、各8サイズ。サイズや耐荷重、安全率、古紙標準配合率などの規格に加え、開封時などにテープを剥がしやすくするための切り込み箇所や文字の印字場所なども詳細に指定するなど、作業性を重視した仕様とした。
共同購買にはJAFIC、東京アパレル物流連絡会、大阪アパレル物流協議会、協同組合関西ファッション連合の4団体に加盟する会員企業が参加でき、大口発注による段ボール購入単価の低減を図る。既に17社のアパレル企業(関東地区5社、仙台1社、関西地区11社)では先行的に共同開発段ボールを導入しているが、7月の本格稼働時における購入社数は現時点で未定という。
標準仕様の段ボールを複数の会社が導入すれば、アパレル製品の共同配送にもつなげやすい。物流小委員会の輸配送分科会では昨年11月から今年1月に掛けて首都圏のファッションビルやショッピングセンターなどの商業施設204ヵ所を対象とした共同配送の検証を実施。参加したアパレルメーカーでは、年間の配送費が2店舗で50万円削減できる試算となった。時間指定納品の見直しや送り状の共通化など課題はあるものの、共同配送への関心はアパレル業界でも高まっている。
JAFICではこれまでもSCM推進委員会物流小委員会を中心に、繰り返し利用できる「循環型ハンガー」や「通い箱」の普及活動を通じて、環境貢献などを推進してきた。こうした中、昨今は輸配送業界でドライバー不足が顕在化しており、運送業界とともに円滑な輸配送の研究・検討を行いながら、車両積載率の向上による効率的な車両稼働に向けて段ボール箱のサイズ標準化に取り組んだもの。
(2017年4月20日号)