冷蔵倉庫の庫腹、タイト感緩和=東冷倉/年末懇談会
東京冷蔵倉庫協会(秋山真人会長=写真)は11月30日、業界専門紙との年末懇談会を新型コロナウイルス感染症対策のもとで開催し、東京の冷蔵倉庫の概況について語った。
冒頭、秋山会長(東京団地冷蔵)は「コロナで5~10年周期で起こる変化が半年の間に起きたと感じる。過去の危機の後と同じように、淘汰されるものと、伸びていくものに二分されていくのではないか。冷蔵倉庫はベーシックな部分は大きく変わっていない。それは変わらず社会から必要とされているからだととらえられる。必要な社会インフラとして残り、機能していくと考えている」と述べた。
冷蔵倉庫の庫腹状況については、「搬入、搬出ともに減少し、庫腹に緩みがみられる。ただ、それまでが(タイト感が)異常な水準だったため、少し余裕があると言える。直近では年末需要やGo Toキャンペーンで人の動きが出てきたことで必要な貨物の搬入が始まり、搬入は戻りつつある。家庭用の冷凍食品、加工食品は伸びているが、外食やホテル・旅館など業務用はコロナの影響を大きく受けている」と説明。
人手不足に関し、「現在も継続しており、冷蔵倉庫はフォークリフトの資格や寒い環境下というハードルがあり、人手が潤沢とは言えない。将来的に少子高齢化も進み、外国人材の活用、省人化含めて人手不足対策にしっかり取り組まなければならない」と強調。省人化技術の活用では、業界内で無人フォークリフトのトライアルが行われているが、常温の倉庫での導入に比べ、冷蔵倉庫だと収益構造上、導入のハードルが高いことも指摘した。
環境問題では、自然冷媒への切り替えが進んでいるものの、コロナの影響で業者対応が停滞していることも報告。来年に延期された東京オリンピック・パラリンピックについては、「開催の規模感が変わってくるとしたら、庫腹の準備の問題もある。交通規制の規模も緩和される可能性がある。東冷倉としては、昨年立ち上げたワーキンググループを通じ、港運、トラックなど他団体との情報共有を密にし、会員に情報提供していきたい」とした。
東京地区の動きとしては、来年、日新が平和島(大田区)で冷蔵倉庫を稼働するほかは大きな動きがないが、将来的には大井ふ頭の再編に伴う東京水産ターミナルの再整備が課題となる。「冷蔵倉庫業界は中小企業が多いが、M&Aなどが進むのか――。その収支構造を見ると、投資効率が悪いため、長い目線で考える必要がある。大きな再編が進むかどうかは微妙だ」と語った。
小林秀寿総務・企画委員長(東洋水産)は、コロナ下での研修会・セミナー開催に関する工夫を紹介。内野立男業務委員長(日水物流)は業界の働き方改革の動きとして、「出荷オーダーの前倒しを荷主にお願いし、残業時間の短縮や労働力不足解消につなげている。土曜日の完全休業を導入したり、早出し業務を撤退する動きもある」と報告した。古川道則技術委員長(日水物流)は、冷蔵倉庫の脱フロン対応などについて説明した。
(2020年12月3日号)