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【ズームアップ】冷凍冷蔵倉庫、全国で新設ラッシュ

2021.05.06

今年から来年にかけては全国で冷凍冷蔵倉庫の新設ラッシュとなる。とくに主要港湾岸地区では近年、庫腹のタイト感が強まっており、旺盛な需要に対応するため各社とも設備投資意欲が見られる。環境負荷軽減や自動化・省力化設備の導入、BCP(事業継続計画)強化などの取り組みも目立つ。

自動化・省力化設備の導入進む

わが国最大の食品の輸入港である京浜地区。冷凍冷蔵倉庫用地が希少となっているが、スクラップ&ビルドや敷地内の増設などで用地を確保し、庫腹を拡充する動きが進む。
東京地区では日新が今年3月、平和島で「平和島冷蔵物流センター」を竣工。収容能力は2万6341t(F級1万8960t、C&F級7381t)。自然冷媒冷凍機(NH3/CO2)を導入したほか、トラック予約受付システムを導入。BCP対策として非常用発電機も設置した。

横浜地区ではキョクレイが3月に本牧ふ頭で「本牧物流センター」を稼働。設備能力は3万773tで、高効率自然冷媒(NH3/CO2)冷凍機や体表面温度測定を兼ねた顔認証システム、自動化設備、トラック予約システムなどを導入。豊富なFC級兼用庫腹および多温度帯に対応した小部屋保管庫を保有しているのが特徴だ。

日本最大の冷凍冷蔵倉庫の集積地である川崎・東扇島では、山手冷蔵の川崎ロジスティックセンター2期工事の建設工事が進む。収容能力は2万5750tで、2022年3月の竣工を予定。2~5階の倉庫すべてに、保管効率が高く、かつBCP対応で地震の揺れに強い移動ラックを導入する。

近年、冷凍冷蔵倉庫大手の新規投資が進んだ名古屋港エリアでは、マルハニチロ物流が4月に「名古屋物流センター(写真)」を稼働。収容能力は3万6967tで全自動倉庫を導入。自然冷媒(アンモニア、CO2)を用いた冷却設備、外防熱工法、全館LED照明を採用。PCaPC免震構造でパレット落下防止用ストッパーの設置など高い安全性を確保する。

自然冷媒など環境対応、免振採用も

昨年来、大型冷凍冷蔵倉庫の竣工が相次いだ阪神地区では、神戸の森本倉庫が創業150年記念事業の一環として建築工事を進めてきた「六甲アイランド冷蔵倉庫」が3月末に竣工。庫腹能力は2万2828t。国土交通省の特定用途港湾施設整備事業、日本冷媒・環境保全機構の省エネ型自然冷媒機器導入加速化事業にも認定されている。

大阪港では二葉が「南港冷凍物流センター2期棟」を建設中。収容能力は2万6230t。22年2月の竣工、同3月の開業を予定している。1期棟に続き基礎免振構造RC造を採用し、F級・CF級合計28室を備える。CO2/NH3自然冷媒システムを採用し、品質管理ではトラックバース20台分すべてにエアシェルターを装備する。

九州地区では、横浜冷凍がアイランドシティ内に「福岡ISLAND CITY物流センター」を1月竣工。収容能力は3万2265t(F級3万1594t、C級671t)。SDGsを前面に打ち出し、太陽光発電システム、自然冷媒冷凍機(NH3/CO2)の採用のほか、電動式移動ラックやトラック予約受付システムにより省人化・省力化を図った。
(2021年5月6日号)


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