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海コン輸送、荷動き減で台数に“余力”

2020.09.08

世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の影響で5月以降、再び輸出入が停滞し、主要港のコンテナ取扱数量が減少している。荷動きが低迷していることに加え、コンテナターミナルの混雑が緩和したことで、国際海上コンテナ輸送ではひっ迫感が緩み、運行台数に“余力”が出始めている。自車の稼働率が上がっている半面、仕事量が減った傭車の稼働率は過去最低レベルまで低下し、厳しい経営環境が続く。需給バランスの変化により、運賃の上昇基調にも陰りが出てきた。

5、6月は最悪、7月も底が見えない

国土交通省の港湾統計速報によると、主要6港(東京港、川崎港、横浜港、名古屋港、大阪港、神戸港)の外貿コンテナ個数は、中国からの輸入が半減した2月を底に4月までは回復基調にあったが、5、6月と再び減少。6月は前年同月比11・4%減で、川崎港、大阪港以外は前年同月実績を下回った。とくに輸出港である名古屋港の26・1%減、横浜港の18・8%減の落ち込み幅が目立つ。

トラック運送業界の中でも最もコロナの影響を受けている業態のひとつが海コン輸送。2月は中国から輸入コンテナの取扱量がほぼ半分になったが、3月は反動で急回復。期末の荷動きも旺盛で「いい決算で終わった」事業者もあった。4月もその傾向が続いたが、5月は世界的な感染拡大で一気に需要が“蒸発”。京浜港の海コン業者は「5~6月は最悪な状況で、7月もまだ底が見えていない」と話す。

港別にみると、川崎港は大手家具小売業の輸入が好調だが、自動車関連の回復が鈍い名古屋港の落ち込みが大きい。輸入が堅調な大阪港では主要商材であるアパレルの輸入が激減している。東京港では、外食需要の低迷や冷蔵倉庫の搬入スペース不足のためリーファーコンテナの取り扱いが減少。唯一、東南アジア向けの輸出古紙の好調だという。

ターミナルの平均待機時間は1時間程度

荷動きが停滞していることで東京港のコンテナターミナルの混雑も緩和している。東京都トラック協会海上コンテナ専門部会(町克朗部会長)が5月に行った調査によると、各コンテナターミナルでゲートの列に並び始めてからゲートを出るまでの平均待機時間は1時間程度と改善が顕著だった。

取扱量が減っていることに加え、コンテナターミナルの混雑緩和で回転率が上がり、各社の輸送力に余裕が出てきている。同部会の調査で運行稼働台数は年々減少していたが、今年3月の調査では前年比で1割増加に転じた。1社・1日あたりの平均稼働台数も74・5台と前年の71・3台から増加。台数に余裕があっても仕事がない厳しい状況が続く。

荷量減少で傭車の平均稼働台数は過去最低に

市況の悪化で最も厳しい環境にあるのが傭車だ。荷量が減少していることで元請は自車でオーダーをこなせるようになり、傭車への委託が減っている。同部会の調査では、3月時点で自車の1社・1日あたりの平均稼働台数(22日稼働とした場合)は調査を開始した11年以降で過去最高となった半面、傭車については過去最低となっているなど明暗が分かれた。

傭車への再委託が減っているため、大手海コン業者の下払いが大幅に減っている。「通常なら傭車に逃げられて当然だが、他も同様なのでしぶしぶついてきてもらっている」(海コン業者の幹部)。荷量が平常に戻った際に傭車を確保できるよう、自車を休車させ傭車に仕事を回したり、休車補償を行っている元請けもいる。高騰していた下払い費用が削減され、利益が改善しているという報告もある。

値上げできない前提で輸送効率化の動きも

近年、主要港では海コン輸送のドライバー不足とコンテナターミナルの混雑による回転率悪化で「ドレーが取れない」状況が続き、運賃は上昇基調にあった。ここへきて需給の緩みから、一部では安値受注も出てきているという。海コン業者に聞くと、「ターミナルの混雑問題も落ち着いているので、値上げは2、3年は難しい」との声も聞こえる。値上げできない前提で輸送を効率化する仕組みを提案し、新規荷主を開拓する動きもある。
(2020年9月8日号)


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