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【話題】コンテナ物流、「24年問題」の影響は?

2024.03.14

トラックドライバーの労働時間規制が厳格化される「2024年問題」が差し迫り、国内における輸送能力の縮小が予測される中、コンテナ物流への影響も注目されている。「運べなくなる」リスクを回避するため、荷主が工場や納品先から最寄りの地方港の活用を検討する動きがあり、近年、増加傾向にあった韓国・釜山港などを経由するトランシップ貨物がさらに増える可能性もある。

一部では「2024年問題」のドレージへの影響は限定的と見られている。とはいえ、工場や倉庫までの輸送距離が長い、コンテナターミナルでの長時間待機、ドレージ会社の車庫が内陸にある――といった要素から、運行に“制限”が出てくることも考えられる。

こうした中、荷主はドレージ距離を短くするために、最寄りの地方港の活用を検討し始めた。大手物流会社も釜山港と日本の地方港を活用した、「2024年問題」に対応する新たな国際海上輸送サービスを開始すると発表した。

デカルト・データマインの調査によると、日本発米国向け(往航・荷受地ベース)のコンテナ貨物の足元(23年)のトランシップ率は30%強(35・8%)。北米以外のアジア地域や欧州向けのトランシップを含めるとその比率はさらに上昇する。「2024年問題」を機に地方港の活用が増えれば、釜山、台湾あるいは中国でのトランシップ量のさらなる上昇が見込まれる。

国土交通省では、釜山等でのトランシップ貨物について、国際コンテナ戦略港湾(京浜港、阪神港)への転換を促し、釜山港トランシップに流れやすい日本海側港湾と国際コンテナ戦略港湾との内航フィーダー網の充実、大型船の投入が図られている。

ただ、内航フィーダー船が地方港に寄港するのは週1便程度で釜山航路の航路より少なく、荷主にとっては選択肢が少ない。物流専門家は「釜山トランシップのほうが船社の選択肢が多く、最低でも地方港には週1便は寄港し、週5便のところもある。韓国や中国の複数の船社が航路を持っており、荷主目線では内航に比較して選択肢がたくさんある」と利便性を指摘する。

釜山トランシップを後押ししそうのがEV(電気自動車)化の流れだ。EVのサプライヤーは現状、日本よりも韓国と中国に集中しており、欧米向けの輸出で釜山に集約するメリットが高まるとみられる。

輸入でも、海外から日本向けの部材を釜山に集約し、そこで仕分けして日本各地の在庫拠点に直送するほうが、京浜港、阪神港で荷揚げして、国内の配送拠点にトラック等で転送をかけるよりも効率的との見方がある。
(2024年3月14日号)


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