ONEジャパン、コンテナ陸送距離削減へオンラインサービス
オーシャン ネットワーク エクスプレス ジャパン(ONEジャパン、本社・東京都港区、中井拓志社長)は、オンラインプラットフォームを活用し、荷主やフォワーダー、ドレージ業者が空コンテナの返却港、ピックアップ港を変更しやすくした。ドレージ業者は前後の仕事に近い港を空コンテナの返却先・ピックアップ先に選ぶことができ、輸送距離と時間の節約が可能となり、「2024年問題」への対応にもつながる。コンテナ在庫のインバランス解消に寄与する変更であれば、チャージがかからなかったり、ONEジャパンからインセンティブを受け取ることもできる。
一部の対象港への変更でインセンティブも
「Avantida」は、欧州を中心に展開している、空コンテナに関する各種手続きをオンラインで完結するプラットフォーム。ONEジャパンでは2019年11月、同プラットフォームが提供する機能のうち、空コンテナの返却先やピックアップ先の変更申請を行う「depotX」機能を採用し、日本でのサービス提供を順次開始した。
船会社と運賃契約を結んでいる荷主、フォワーダーだけでなく、ドレージ業者も利用でき、アカウント登録すれば24時間いつでもコンテナの返却先やピックアップ先の変更を船会社に申請可能。対象となるのはドライコンテナとリーファーコンテナのみで、特殊コンテナは対象外となる。
変更に際しては、各港のコンテナの在庫状況によりチャージが発生し、無料で変更できる港もある。昨年1月からは、一部の対象港、コンテナタイプサイズについてONEジャパン独自のインセンティブ額を設定。精算はデポジット制で、申請のタイミングでデポジットアカウントからチャージが控除され、インセンティブは手配実施後に付与される。
ONEジャパンでは、最新のコンテナ在庫状況を反映し、チャージ・インセンティブ額を毎月改定。変更手続きおよびチャージの支払い・インセンティブの受け取りはコンテナ単位で可能となっている。なお、付与されたインセンティブは「Avantida」のすべてのサービスで利用できるほか、出金も行える。
輸送時間と距離、CO2削減もサポート
たとえば、9月において、コンテナの在庫過多の東京港から、コンテナ不足の名古屋港に40ft(ハイキューブドライ)の返却先を変更する場合、1本あたり1万円のインセンティブを付与。コンテナの在庫過多の大阪港から、コンテナ不足の神戸港に20ftドライコンテナのピックアップ先を変更する場合、1本あたり2万4000円のチャージが発生する。
ONEジャパンでは、「2024年問題」対策としても同サービスの利用を提案する。ドレージ業者が前後の仕事の配送エリアに合わせて空コンテナ返却先・ピックアップ先を変更することで輸送距離をコントロールできるからだ。メリットとチャージを比較して1本から利用でき、変更先港によってはインセンティブも受け取れる。
たとえば、新潟港のドレージ業者が東京港へ実入りコンテナを引き取りに行き、新潟でデバンニング後、通常は東京港に空コンテナを返却に行かなければならない。「Avantida」を使い、新潟港に返却先を変更すれば東京港まで戻らなくて済むため、輸送時間と距離、さらには輸送に伴うCO2排出量の削減につながる。
ONEジャパンでは、全国の57港を対象に空コンテナの返却先・ピックアップ先の変更申請を受け付けており、22年度の受付件数は1800件となった。同サービスはフォワーダー、ドレージ業者にはまだ認知が十分でなく、「利便性向上、輸送効率化、地球環境への負担軽減につながる『Avantida』を積極的に利用してほしい」と呼びかけている。
(2023年9月14日号)