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国交省、海コン輸送マニュアルを3月末改訂

2021.03.09

国土交通省は3日、「第11回国際海上コンテナの陸上輸送に係る安全対策会議」を開催し、「国際海上コンテナの陸上における安全輸送マニュアル」の改訂に向けて意見交換を行った。同マニュアルは2013年6月に策定。18年4月に一部改訂を実施し、今回の改訂では荷主も含めた関係者を対象に陸上輸送時の留意点などの参考資料を追加のうえ今月末に公表する。また、会議ではトラック協会に加盟していない事業者を対象に行ったアンケート調査結果を報告。トラック協会会員、非協会員ともに荷主、取次事業者、元請事業者から輸送に関する十分な情報を得られていないことから、22年度中に輸送依頼時の情報提供(重量・品目・梱包状態など)の実態調査を行う。

マニュアルに荷姿別・貨物別の具体事例を追加

改訂によりマニュアルに付け加える資料では、発荷主は適切な積み付けを行い、受荷主は発荷主に適切な積み付けを依頼するよう明記。トラック事業者とドライバーに向けては、運行指示書の情報からコンテナ内に収納された貨物の品目、重量、荷姿などの貨物情報を的確に把握して運行を行うよう指示した。

具体事例では、荷姿別と品目別とに分けて、写真による積み付け例をはじめ、ドライバーが留意すべき項目、バンニング・デバンニングのポイント、荷崩れの例などを一覧にして掲載する。貨物は15~19年に横転事故が発生した品目から選定した。

荷主などからの情報伝達が不十分と指摘も

国交省は今年1~2月に、トラック協会に加盟していないトラック事業者を対象に、「国際海上コンテナの陸上における安全輸送ガイドライン」と同マニュアルの周知状況に関するアンケート調査を実施した。非協会員事業者810者にアンケートを行い、59者から回答があった。会議では、昨年実施したトラック協会加盟事業者への調査(回答105者)と比較の上で調査結果を報告した。
ガイドラインとマニュアルの周知状況をみると、非協会員は「知っている」が44者(75%)でトラック協会会員の95者(90%)を大きく下回っていた。一方で、「知っている」と回答した非協会員の社員への周知状況は42者(95%)に達しており、協会員の85者(89%)よりも高かった。

安全運転に関わる取り組みでは、安全教育の徹底や余裕のある運行指示、適切なシャーシの手配などは非協会員と協会員のいずれも100%の事業者が実施。一方、偏荷重状態を測定するメジャーの携行の有無は、非協会員は「携行している」が36%で、協会員の54%よりもわずかに劣っていた。

コンテナ輸送に関する情報伝達については、輸入・輸出ともに協会員と非協会員とで顕著な差はみられなかった。荷主、取次事業者、元請事業者からの情報提供で障害となる事項について、非協会員から「品名は記載されていることが多いが、重量の記載がほとんどない」「荷主や通関業者の問題が多いと思われる」との回答があった。

昨年調査での協会員の回答には「搬入票に品目や梱包情報を記載する欄がない」との指摘もあり、非協会員、協会員ともに、重量・品目・梱包状態などについて十分な情報が伝達されないことを課題としていた。調査結果を受け、国交省は22年度中に、荷主、取次事業者、元請事業者を対象として情報伝達状況を調査する。
(2021年3月9日号)


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