【ズームアップ】「ロボットセンター」で初の内覧会=MUJIN
MUJIN(本社・東京都江東区、滝野一征CEO)では、7月28日から30日までの3日間、本社ロボットセンターに構える「デモンストレーションエリア」と「開発エリア」で特別内覧会を初開催し、物流業界を中心に約72社が同社のデパレタイズロボットなどの説明を受けた。内覧会は新型コロナウイルス感染症防止に配慮して3日間で計9回のセッションを行い、訪問各社は、個別のミーティング、アテンドにより密集を避けながらの視察となった。
繊細でスピーディなロボットの作業
総面積510㎡のデモンストレーションエリアには、デパレタイズロボット、パレタイズロボット、ピッキングロボットなどが設置され、内覧会ではそれぞれにデモンストレーションを実施。AGV(無人搬送車)によって運ばれたパレタイズ貨物(飲料箱)のロールボックスパレットへの積み付けや、コンテナ内の菓子箱をピースピッキングして、配送用コンテナへ投入する作業などが実演された。
同社技術で動くロボットアームの特長は人間に近いスムーズな動作を実現していること。その核となる技術が「MUJINロボットコントローラ」のモーションプランニングAIによる動作制御と「MUJINビジョンコントローラ」の高精度3Dビジョンの解析能力だ。営業本部の久富洋幸氏は「ロボットが自分で見て動けることにより、従来のロボット制御に必要だったティーチングが不要となり、短期間での稼働が可能となる。事前の商品マスター登録がなくても貨物の形状や重さなどを分析して最適に扱える。また、これまでのロボットでは対応できなかった、複雑な工程の自動化も可能となる」と説明する。
さらに、ピースピッキングにおいてはコンテナへの投入も丁寧に行い、入れ方についても最適な方法を選択する。ピースピッキングロボットは大手アパレルメーカーのEC出荷ラインにも設置されており「商品はロボットによって出荷用のダンボールに直接投入され、そのまま梱包してエンドユーザーへ発送出来るクオリティを実現している」(同)という。
現場主義のエンジニア
別フロアの「開発エリア」はデモエリアよりも広大だ。同社には国際色豊かなエンジニア約80人が在席しており、日々のトライ&エラーからの成果はユーザーの現場へと反映されていく。エリア内では、導入過程にあるロボットの調整や最新の開発がいたる所で進行中だ。中でも、最新のデパレタイズロボットは、毎時1000ケース(飲料箱)の生産性を実現しており、昨年10月時点での毎時800ケースから大きな進化を遂げている。パレタイズロボットは毎時450ケース、ピースピッキングロボットは毎時900ピースを実現している。
久富氏は「当社の強みは技術力だけではない。単にロボットが動くだけでなく、物流現場の様々な状況にマッチすることが重要であり、エンジニアはロボットが現場でしっかりと機能することを重視している」と話す。
今後も内覧会を継続開催
ファクトリーオートメーションから始まった同社が、物流業界に参入したのは、約4年前のアスクルへの導入からで、現在は顧客アカウントの半数超が物流業界となる。「とくに、新型コロナウイルスの発生以降は、物流業界からの引き合いが20%程増えており、根底にあった人手不足を背景としたニーズにウィズコロナ対応で『密を避ける』『人手を介さない』などの要素が加わっている」と久冨氏は分析する。また、コロナ以前に導入したユーザーからは「コロナ禍の中で機能し助かった」という声も届いているという。
今後は、今回のような内覧会をコロナウイルスの影響を見ながら継続的に開催していくという。久冨氏は「まだまだ、ロボットが物流現場で本当に機能するのか、と懐疑的な方も多いが、導入をお考えの方は、是非当社のロボットセンターをご覧いただきたい」と話す。
(2020年8月6日号)