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濃飛西濃運輸が「デバンダ」を導入、“完全無人化”も計画

2022.06.30

濃飛西濃運輸(本社・岐阜県関市、小森紳司社長)は今年3月に、「富加物流センター」(同市)のコンテナデバンニング作業に、メイキコウ製の伸縮式コンベア「デバンダ」1台を導入した。これにより、コンテナ内の作業者を1人に減らすとともに、1コンテナ当たりの作業者数も5人から4人へ削減した。さらに、来年を目途にデバンニング作業を完全無人化した機器の導入も検討するほか、荷降ろしした貨物の検品やパレタイズ、入庫といった周辺作業の自動化も、実現に向けて研究を進める。

富加物流センターは敷地面積4万9800㎡、建物面積1万7500㎡の平屋建て倉庫で、大手ホームセンターのDC拠点として稼働する。海外製品の輸入基地でもあり、名古屋港などで荷揚げされた製品は同センターを経由して国内約180店舗へ発送される。搬入コンテナは月間400TEUに上り、1日に海上コンテナ8~10本のデバンニング作業が必要となる。

こうしたデバンニング作業は従来、全て手作業で行われており、コンテナ1本当たり600~700個に上るカートンを、専任の作業者5人が約1・5時間かけて荷降ろししてきた。しかし、閉所空間となるコンテナ内は、夏場には庫内温度が50~60℃まで上昇するなど過酷な労働環境となり、作業負荷の大きさから人材の定着率が悪く、作業者の確保が課題だった。

そこで、業務の維持・継続と作業者の負荷軽減を目的にデバンダを採用。デバンダは、昇降式作業台(シザーリフト)と伸縮ベルトコンベアを組み合せたデバンニングの省人化機器で、コンテナ内の作業者1人がシザーリフトに乗ってカートンをコンベアに降ろし、コンテナ外に流されたカートンを3人がパレットに積みつけることで作業が完了する。

これにより、デバンニング作業者を削減できた上、コンテナ内ではシザーリフトが上下に昇降するため、高所や低所の荷物を負担なく取り降ろせるようになり、作業者の負荷軽減にも貢献した。また、コンテナ内への歩行も不要となるため、作業全体の生産性も向上し、導入後のコンテナ1本当たりの作業時間は0・88時間に短縮。デバンダは富加物流センターでのデバンニング全体の約3割に使用され、年間で約430万円超のコスト削減効果が見込まれるという。

その上で、同社が目指すのが、デバンニング作業の完全無人化だ。最近では国内でも無人化機器が登場しており、こうした機器の導入を計画。デバンダとの併用で、富加物流センターにおける完全手荷役でのデバンニング作業を全体の4割まで削減したい考えにある。さらに、省人化・自動化機器でデバンニングされた貨物の検品やパレタイズ、入庫作業についても自動化を検討し、コンベア上での伝票の自動読み取りやアームロボットによるパレット積み、自動搬送機(AGV)による指定場所への格納などを含めたシステム開発を目指す。こうした仕組みは、輸入コンテナの搬入が多い他の営業所への水平展開も図っていく。
(2022年6月30日号)


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