JR貨物、6月のコンテナは13%減に
JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)の6月の輸送実績は、コンテナが前年同月比13・1%減の147万1000t、車扱が14・8%減の53万4000tとなり、合計で13・6%減の200万5000tだった。15日に本社で会見した真貝社長(写真左)は、「引き続き前年割れの状況ではあるものの、4月、5月の実績からは改善しており、底を打ったとの認識だ」と述べた。また、今後の輸送需要の見通しについては「第1四半期が終わった段階で今期の事業計画を見直した。その7月改定計画では、依然として輸送量が前年を下回る状況が続くが、来年3月時点では収入ベースで前年と同レベルまで回復するものと見込んでいる」とした。
6月のコンテナは、紙・パルプ、化学工業品、自動車部品、食料工業品などが前年を大きく下回った。化学工業品では、自動車産業向けのタイヤ原料や樹脂が減送になったほか、自動車部品は販売台数減少の影響で低調に推移。食料工業品も、現地生産化が進む清涼飲料水や外食産業向けビールの輸送が減少した。一方、積合せ貨物とエコ関連物資は前年実績を上回った。積合せ貨物については旺盛なEC需要が追い風になり、エコ関連物資はリニア新幹線の建設残土輸送が堅調に推移した。
車扱は、セメント・石灰石が低調だったものの、石油の輸送量が前年割れながらも回復したことで、前月に比べて輸送量は回復した。
また、第1四半期(4~6月)の輸送実績は、コンテナが前年同期比14・3%減の444万t、車扱が15・0%減の160万6000t、合計で14・5%減の604万5000tとなった。
来年3月には収入前年並みに回復
会見で真貝社長は「7月改定計画では、輸送品目ごとに細かい収入見通しを立てた。積合せ貨物については、今後も前年を上回る状況が続くほか、食料工業品も外出自粛が緩和され店舗など外食産業向けの需要も徐々に回復していく。引き続き厳しい品目もあるが、来年3月には単月収入ベースで前年並みまで回復する」と見通しを語った。費用面では、「運転計画などを見直すことで下がるコストもある。ただ、将来につながる戦略成長投資については計画通り実行していく。収入と費用のコントロールで、単体での経常黒字を確保したい」と述べた。
九州豪雨で輸送力の46%を代行でカバー
また、九州地区を中心とした豪雨被害で、鹿児島線・肥薩おれんじ鉄道線(鳥栖貨物ターミナル駅~鹿児島貨物ターミナル駅間)で複数箇所での土砂流入が発生し、運転中止が続いている。真貝社長は「現在のところ復旧の見通しが立っておらず、作業は難航している」と説明。
7日から利用運送事業者と連携してトラックによる代行輸送を実施しており、14日からは北九州貨物ターミナル駅~熊本駅・八代駅間で1日コンテナ110個程度、福岡貨物ターミナル駅~鹿児島貨物ターミナル駅・川内駅間で1日90個程度(いずれも12ftコンテナ換算)でも代行輸送を実施している。運転中止区間の輸送力に対する代行カバー率は46%に達しているという。
(2020年7月21日号)