【トラック輸送】UPSが集配車にビーコン設置、貨物の積み間違い防止
米UPSは19日、積み荷係が貨物を間違った集配車に載せた際に電子ビーコンが通知する「プリロード・スマートスキャン」を開発し、集配車に設置した、と発表した。貨物処理業務のエラー防止による配達精度と顧客満足の向上が目的で、「プリロード・スマートスキャン」を導入することで貨物の積み間違いが70%削減できる試算。2017年内には米国内の同社物流施設の28%に当たる301拠点、全米の同社集配車両の47%にビーコンを設置する計画にあり、将来的には海外への水平展開も予定する。
「プリロード・スマートスキャン」では、UPSの積み荷係が身に着けた貨物スキャナー端末とBluetooth を搭載したビーコンが通信する。ビーコンは各貨物の情報と貨物の車両内の位置に関するシグナルを発信し、貨物のラベルを読み取るスキャナーがそのシグナルを感知。スキャナーには貨物一つひとつがどの集配車に積載されるべきかプログラムされており、間違った車両に運ばれると、積み荷係にエラーを通知する仕組み。
同社では1日約2000万個の貨物や書類を配達しているが、貨物の積み間違いは時間とコストのロスになる上、サービス品質の低下にも直結。ビーコンが設置された集配センターでは、こうした積み間違いを事前に防げるようになるという。
ビーコンは同業務に合わせてカスタマイズ。一般のビーコンではシグナルの範囲が広すぎるために、朝の積み荷時に近距離で駐車されるUPS集配車両ではシグナルが車両の側面を通り抜けてしまい、正確な情報が取れなかった。そこで、専門業者と協力し、近距離で駐車された集配車両でも使用できるようビーコンを調整することで利用を可能にした。この結果、シグナル領域が狭められたほか、頑丈なデザインが採用されてバッテリー寿命も長くなり、集配車両のサイズに合わせた設定もできるようになった。
UPSでは、データや最新のテクノロジーを用いて物流施設内や配送ルート業務効率向上を進める『UPS EDGE(Enhanced Dynamic Global Execution)』プログラムを推進しており、「プリロード・スマートスキャン」もその一環。UPSがグローバルネットワークで導入している堅牢なテレマティクスソリューションを採用するほか、カスタマイズされたビーコン技術は、UPSのビッグデータやIoTなどのイノベーションを基盤としている。今回のケースでUPSが収集するデータは、予定配達時刻の精度向上に役立てられていく。
(2017年4月25日号)