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【話題】武漢向け救援物資輸送サービス開始=日本通運

2020.03.12

日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は9日、新型コロナウイルス感染拡大の影響により中国湖北省・武漢市への輸送が困難になっている状況を踏まえ、上海市から武漢市までの鉄道を利用した「救援物資輸送サービス」を開始した。同サービスは、同社東アジアブロック(地域総括=杉山龍雄常務執行役員・香港日本通運会長兼日通国際物流(中国)[中国日通]董事長兼社長)が中国最大手の総合物流企業である中国外運股份有限公司(中国外運)と連携して行う。

ドライバーの3割が現場復帰できず、鉄道ルートを確保

9日に上海からのテレビ会議の形式(写真)で会見を行った杉山常務は「武漢では新型コロナウイルスの感染者が累計8万人を超え、死亡者は3000人以上を数える状況となり、現地は大きな影響を受けている。1月23日の都市封鎖以降、上海から武漢までの輸送は多くの規制が課せられている」と述べ、「武漢に貨物を搬入したトラックドライバーは14日間の隔離措置や自宅待機が必要となり、約3割は現場復帰できていない」と現状を報告。トラック輸送が困難な状況にある一方で鉄道貨物輸送では隔離措置などが行われていないことから「マスクや食品など救援物資ならびに一般貨物を武漢に輸送する手段を確保するため鉄道ルートを確保した」と説明した。
同サービスでは中国外運と連携し、上海から武漢まで約1000㎞を鉄道で大量輸送し、定時運行を実現。貨物量に応じてコンテナ貸切輸送(FCL)や混載輸送(LCL)サービスの利用が可能。FCLの場合、上海から武漢の呉家山貨物ターミナルまで月曜から土曜まで毎日運行する。LCLは武漢市の蔡甸経済開発区内の中国外運倉庫まで、週1回運行する。
中国政府は9日時点で11日から武漢市の一部企業での事業再開を認める方針を示している。杉山常務は「武漢での事業再開を期するお客様がサプライチェーンを維持する手段として鉄道輸送ルートを活用したこのサービスを利用していただきたい」と強調する。

救援物資の取り扱いは中国全体で219件に

会見に出席した中国日通上席副社長兼華東地区総経理・蘇州日通総経理の下小野田恒氏は「依然として厳しい状況にあるが、当社は病院への配送にも参画しており、多数のマスク・防護服・消毒液・体温計・ウイルス検査機など救援物資を取り扱っている」と報告。「香港を含む中国エリア全体での救援物資の取り扱いは2月末時点で合計219件となった」とした。
武漢支店は今月3日、封鎖された武漢市へのトラック輸送に必要なライセンスを取得。市内に建設された新型コロナウイルス患者専用病院への支援物資輸送を10t車で1日1~2便行っている。
(2020年3月12日号)


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