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国交省道路局が「20年後のビジョン」原案を発表

2020.02.27

国土交通省道路局は21日、社会資本整備審議会道路分科会第73回基本政策部会(部会長=石田東生・筑波大学名誉教授・特命教授)を開催した。20年後の道路政策ビジョンを示す「2040年、道路の景色が変わる~人々の幸せにつながる道路へ~」の原案を発表し、意見交換。同ビジョンによると、20年後の道路サービスには、技術革新や個人のライフスタイルの変化に伴い、「より安全で効率的な移動」を実現し、「人が滞在し、交流できる空間」であることが求められるとした。

物流関連では、持続可能な「ロジスティクス・アズ・ア・サービス(Logistics as a Service)の実現を掲げた上で、20年後は自動運転技術とeコマースによる買い物のための移動が激減し、ドライバー不要の無人物流が主流となると予測。移動コストの低下により、小口配送ニーズがさらに増加し、多数の小型自動ロボットやドローンが配送を行う〝超多頻度小口輸送〟が行われる。それに伴う物資流動では「起点~終点(OD:origin-destination)の組み合わせ数が爆発的に増加し、データによる予測が不確実になる」とした。その結果、道路上では無人自動運転車や小型モビリティが縦横に走り、貨物の積み降ろしを行う大小のハブ拠点が多く設けられると予測している。

物流BDのオープン化や自動・隊列の専用レーン整備へ

対応する施策では、持続可能な物流システムの実現が最重要だと掲げた。
自動運転トラックや隊列走行の専用レーンや、それに直結する隊列の連結・解除拠点、電気トラックの充電スポット、水素燃料車のための水素ステーションなどを高速道路に整備することで、自動運転・隊列走行の全国展開を図る。

貨物の小口多頻度化のさらなる進展に対しては、小口荷物単位で最適化された物流システムを支援するプラットフォームを形成し、幹線道路や物流拠点から得られる物流関連のビッグデータのオープン化を促進。ロボット配送などを可能とする道路空間や安全性を支える利用ルールの整備を行う。

加えて、国際海上コンテナの増加や大型化に対応し、幹線道路ネットワーク機能や港湾との連絡機能を強化することが重要だとした。

委員からは「20年後は第2次産業がさらに収縮すると見ている。そうした中で物流の量的中心であるBtoBの貨物量が減ることを織り込んだ視点が必要だ」との指摘があった。
池田豊人道路局長は「人口減と高齢化が進む日本社会が、今後活力を維持していくことが大きな課題だ」と述べ、「将来の道路行政がどのように貢献していけるかをビジョンに盛り込みたい」と意図を説明した。
(2020年2月27日号)


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