メニュー

ECラストマイル事業が収益改善=丸和運輸機関

2019.11.19

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)は、今期からスタートした中期経営計画で、毎年売上高150億円を積み増し、最終年度の2022年3月期には売上高1300億円、経常利益100億円を目指すとしている。とくに、成長の柱に据える「EC・常温物流」事業は、この第2四半期に売上高をさらに拡大。懸案だった利益についても、「最初はセンターの立上げ費用が先行して確かに厳しかったが、順調に稼働できるようになり、ドライバー一人あたりの配達個数も増えている」と、和佐見社長は順調さをアピールする。

米大手EC企業を顧客とするECラストワンマイル事業では現在、約2000台が常時稼働している。このうち自社車両は約200台ほどで、丸和運輸機関による“新たな起業家モデル”である個人事業主「MQA(Momotaro・Quick Ace)」の車両が約350台、残りは「AZ‐COM丸和・支援ネットワーク」会員の車両が担う。

受託エリアは、同社が本社を置く埼玉県全域を押さえた上で、栃木、群馬、茨城の北関東地域、さらには仙台、福島といった東北エリアにも拡大し、「いわゆる(国道)4号線を戦略的に進めているところ」(和佐見氏)。南関東では、東京都に加え、神奈川県では横浜川崎エリア以外を担当。さらに湘南・藤沢エリアや千葉エリアの受託も期待されるが「現在の受託エリア内でやるべきことはまだある」として事業基盤の強化を優先する。

米大手EC企業の配送を担う“デリバリープロバイダー”においては受託事業の収益性も取りざたされるが、「センターの立上げ時には、人員を倍近く入れる必要があって人件費が相当掛かった」(同)ものの、現在は安定稼働していることで収益が改善。配達員の取扱個数が1日180~200個にまで増えており、担当エリアも小さくなったことで配達効率も向上。運賃については、基本的には個建てだが、東北地方など配達効率が低い地域は車建てのケースもあるという。

一部メディアには大手宅配会社の値下げでデリバリープロバイダーの荷物が少なくなるとの報道もあったが「当社と大手宅配会社ではデリバリーの質が異なる」とした上で、「当社では、集荷は行わず、通販荷物の配達のみを行う。集荷の方が利益になり、集荷があると配達がおろそかになるため」と和佐見氏は説明する。

同社では22年4月に、稼働車両数を1万台体制に引き上げる計画としているが、その内訳はMQAが5割、AZ‐COMネット会員で4割、自社車両1割を想定。中でもMQAは丸和運輸機関が直接ドライバー教育を行える重要な戦力と位置付け、急ピッチで増員を図る。応募状況については「2年前から開始し、1年目は実績がなくインパクトも少なかったが、2年目に入ってかなりの面談を行っている」という。

その上で、最近では同EC企業からフルフィルメントや幹線輸送に関しても「人がいない」として協力要請が寄せられており、こうした業務の取り込みも検討する。一方、他のEC企業からの配達依頼については「既存顧客だけでやりきれないほどの物量があるので、話し合いのテーブルには着くが、当社から率先してやろうという考えは今の所ない」と和佐見氏は断言する。
(2019年11月19日号)


関連記事一覧