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【AI・IoT】未来のEC物流を研究開始=3PL協会EC物流委

2017.06.27

日本3PL協会のEC物流委員会(加藤進一郎委員長)は今期から、AIやIoT、ロボットなどを活用した「未来のEC物流」の研究と将来の事業化に向けた検討を開始する。3ワーキンググループ(WG)のひとつを同テーマにもとづく集まりとし、まずは最新のEC物流センターやIT技術の見学といった情報収集からスタートする。16日に開催された「2016年度成果発表会」で17年度の活動方針として発表されたもの。これに伴ってEC物流委員会のWG全体も体制を見直し、EC物流の基礎研究を行う「WG1」に、WG1で抽出された課題の解決策を検証してきた「WG2」を統合。事業化に向けてより具合的な検討を行う「WG3」は従来通りの位置づけとした。

成果発表会では冒頭、加藤委員長が「EC物流市場で業界の垣根を越えた競争が増える中、現場をしっかりと押さえ、データを取れているか否かが重要になっている。協会にはアマゾン・ジャパンやアスクル、良品計画など業界のトップ企業が参加しており、彼らからの指導を得ながら事業に役立ててほしい」とエールを送った。

続いて、スクロール360の山崎社長が最新の通販市場動向について講演。今後の注目点として国内におけるフリマアプリなどのCtoC(個人間)取引の拡大やオムニチャネル化の進展、中国およびASEANに向けた越境ECの可能性を指摘した。その上で「当社でも東京を初めとした物流センター機能を広げるとともに輸出にも対応し、全国で3PLソリューションを提供したい」と意欲を示した。

各WGの活動報告では、まず「求められるEC物流」をテーマに活動したWG1が発表EC物流事業への新規参入に必要な要件を「一貫した情報システムを備えた物流管理」と定義した上で、今期以降は、地域の活性化につながる農産品のEC流通ルートの商品化を見据えて活動する方針を示した。その際には参加企業の協業体制で強みを発揮していくとした。

「EC物流の課題と深耕」を研究したWG2‐1では、EC市場規模が大きいものの物流課題が多い「食品」と「衣料品」をターゲットに据え、求められる物流品質などを検証。物流会社がEC荷主を獲得するには単一カテゴリーの荷主をターゲットにするべきであるとともに、データのリアルタイム連携や衣料品物流におけるフルフィルメント機能、個人情報保護などの安全・安心対策が必要と結論付けた。

「BtoBにおけるレンタル・シェアリングサービス品のEC物流化」を15年度に続いて検討したWG2‐2では、レンタル企業の訪問視察を行いながら、シェアリングビジネスへの知見を深めた。レンタル企業はアナログの仕組みが多い一方で、シェアリングエコノミーはシステムありきである点に注目。また、EC物流のみならずサプライチェーン全般で事業検討が必要であることも示唆した。来期はWG3として事業化に取り組む。

このほか、16年度にEC物流委員会から独立した「EC物流協議会」は、EC・かさ物配送事業の進捗を報告。配達情報をメールで届け先に送信する新システムが5月末に納品されたが、物流センターの着車時間連絡など多様な用途が想定できるとして、幅広い利用を呼び掛けた。

(2017年6月27日号)


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