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物流システム機器、初の5000億円突破

2019.09.12

日本ロジスティクスシステム協会(JILS、遠藤信博会長)はこのほど、2018年度の物流システム機器生産出荷統計を公表した。それによると、18年度の総売上金額は5858億7000万円となり、17年度比で26・6%増と大幅な伸びを示した。統計開始以来、初の5000億円超えとなったもので、過去最高レベルだった16年度、17年度の実績を大きく更新した。統計では「深刻化する労働力不足への対応として、省力化・自動化に向けた動きは今後ますます加速する」としている。

わずか4年間で総売上金額が約7割拡大

同統計調査は、JILSの物流システム機器推進部会が1985年度から実施している統計を承継して実施。07年度調査からは新たに調査委員会を設置し、日本物流システム機器協会・統計委員会の協力を得て、調査内容の検討・分析を行っている。

それによると、18年度の物流システム機器の海外向けを含めた総売上金額は初めて5000億円の大台を超え、17年度比26・6%増の5858億7000万円となった。売上件数も17年度比1・7%増の14万1636件と増加したが、金額に較べると伸び率が低く、受注1件あたりの金額が大型化していることがうかがえる。

なお、4年前の14年度の総売上金額は3479億円にとどまっており、わずか4年間で売上規模が約7割拡大したことになる。

機種別も総じて好調、台車系は6割増に

機種別の動向では、自動倉庫の売上が1390億円となり、17年度から21・5%増となった。このうちパレット用自動倉庫(ユニット式)の売上は662億円(前年度比22・0%増)、クリーンルーム向けは580億円(23・7%増)。基数(パレット数)は188万パレット(14・3%増)となった。

台車系は1298億円(62・2%増)と大幅に伸長。基数も8312台(9・3%増)となった。内訳は天井走行台車が989億円(64・7%増)、有軌道台車システムが154億円(61・3%増)、無軌道台車システムが155億円(48・2%増)となった。

コンベヤ系は1268億円(17・1%増)。内訳はケース搬送用コンベヤが676億円(21・1%増)、パレット搬送用コンベヤが545億円(24・4%増)となったが、ハンガー式コンベヤは45億円(46・7%減)だった。

仕分け・ピッキング系は、402億円(28・0%増)。このうち仕分機は331億円(35・6%増)で、基数も3966台(13・3%増)。デジタルピッキング表示器は62億円(3・4%減)となった。

このほか、回転棚・移動棚は180億円(2・2%増)、棚は306億円(0・6%減)、パレタイザ/デパレタイザは174億円(31・3%増)、垂直搬送機は164億円(39・3%増)となったほか、コンピュータ(制御系ソフト・ハード、WMS等)は322億円(15・6%増)となった。

また、海外向けの売上金額は1896億6300万円となり、17年度比で24・0%増となった。なお海外向けは従来からクリーンルーム向けの割合が高く、18年度は1563億8100万円(35・7%増)となった。

19年度の売上金額は6000億円を突破か?

統計調査では受注額の調査も行っており、18年度は6360億円と、17年度の5603億円から大きく増えている。受注額は出荷額の先行指標となるが、17年度の受注額に対し18年度の売上金額が105%程度であることを考えると、19年度の売上金額は6000億円を大きく上回ることが予想される。
(2019年9月12日号)


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