メニュー

ニチレイロジ/豊田自動織機、冷蔵冷凍自動FLの実証実験

2020.10.13

ニチレイロジグループ本社(本社・東京都中央区、梅澤一彦社長)と豊田自動織機(本社・愛知県刈谷市、大西朗社長)は8日、冷蔵冷凍倉庫における自動運転フォークリフトの実証実験を開始した、と発表した。来年9月までの1年間、「ロジスティクス・ネットワーク品川物流センター(DC)」(東京都港区)で行う。

品川物流センターでは、冷蔵倉庫(約7℃)と冷凍倉庫(約マイナス25℃)を往復するフォークリフト作業において、トヨタ自動織機の自動運転フォークリフトを活用する。実験においては、マイナス25℃の冷凍環境下における機台の耐久性に加え、庫内では有人フォークリフトも稼働することから、作業の安全性も慎重に検証する。

最も特徴的なのが、約30℃の温度差が生じる冷蔵・冷凍ゾーン間の移動。自動フォークリフトによる冷蔵・冷凍温度帯をまたいだ移動は、急激な温度変化から結露やモヤが機台とその走行に影響を与えることから、困難とされてきた。豊田自動織機ではフォークリフトにヒーターを設置するなどして結露・モヤへの対策を講じながら、今回の実証結果から抽出される課題をもとに改良を重ね、こうした環境にも対応した機台を「国内で初めて」(同社)製品化したい考えにある。

ニチレイロジグループでは労働力不足の解消や低温環境下での作業者の負担軽減、現場作業の標準化を目的に、2016年より冷蔵冷凍倉庫における業務革新への取り組みを開始。その一環として、豊田自動織機との協業による自動運転フォークリフトの導入を進め、18年には「キョクレイ大黒物流センター」(横浜市鶴見区)で冷蔵環境下(2℃)における自動運転フォークリフトの実証実験を行い、有効性を確認した。さらに19年には「ロジスティクス・ネットワーク川崎ファズ第2物流センター」(川崎市川崎区)でのカゴ車移動に、自動搬送機「トヨタキーカート」を導入している。

ニチレイロジグループが保有する76ヵ所のDCのうち90%以上が冷凍倉庫であり、作業環境の厳しさから人手不足は深刻化している。同社では名古屋みなとDC(名古屋市港区)など新設拠点においては自動化機器を積極的に採用しているが、既存拠点ではこうした機器を導入することが難しく、課題となっていた。

8日にWeb会議方式で開かれた記者発表会でニチレイロジグループ本社業務革新推進部の北川倫太郎部長は「自動運転フォークリフトが冷蔵・冷凍環境下で使用できれば既存拠点の自動倉庫化が可能となり、大いに期待している」とコメント。豊田自動織機物流エンジニアリング部エンジニアリング室の阿曽操主査も「当社が長年蓄積したノウハウとニチレイロジグループの力で冷蔵・冷凍自動運転フォークリフトを早急に実用化したい」と意気込みを示した。
(2020年10月13日号)


関連記事一覧