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日通が鉄道コンテナ集配運賃を10%アップ

2019.07.04

日本通運(本社・東京都港区、齋藤充社長)は1日、鉄道利用運送事業におけるコンテナ集配運賃を改定し、同日付で国土交通省に届出した。改定率は現行の届出運賃に対して平均10・1%の値上げとなる。また、新たに「休日割増」と「夜間・早朝割増」を新設した。日通が鉄道コンテナの集配運賃を改定するのは1990年以来、29年ぶり。6月28日に本社内で会見した通運部の小泉芳久部長(写真)は「鉄道コンテナ集配の部分でもドライバー不足が顕著になり、とくに協力会社から運賃を上げて欲しいという声が高まっている」と述べ、今後、顧客に理解を求めていく姿勢を強調した。

休日割増、夜間・早朝割増を新たに設定

今回の運賃料金改定では、鉄道コンテナの集配運賃(発送料・到着料)の基準料率を、現行タリフから平均10・1%引き上げた。また、新たに日曜祝祭日およびそれにまたがる作業について2割増となる「休日割増」、午後10時から午前5時までの時間およびそれにまたがる作業について3割増となる「夜間・早朝割増」を設定した。

このほか、運賃料金の適用方における附帯料金の種別として、新たに「コンテナ内部の養生作業に係る実費負担」を追記した。

コンテナ集配ドライバーの不足が顕著に

日通が前回、鉄道コンテナ集配運賃を届出したのは1990年までさかのぼる。当時、物流2法の施行に伴い旧運輸省が認可したタリフと同内容のものを届出したもので、改定は29年ぶりとなる。一方、「運賃料金の適用方」については、一昨年の2017年に標準鉄道利用運送約款の改正に伴い、「待機時間料」「燃油サーチャージ」の新設に加え、附帯料金に積込料や取卸料を明記している。

今回、値上げに踏み切った理由について、小泉氏は「通運部門でもドライバー不足が顕在化しており、社有戦力、グループ会社、協力会社の中でも、とくに協力会社からドライバーが集まらないという声とともに値上げ要請が高まっている」と説明。「集配ドライバーの高齢化も進んでおり、ここでお客様のご理解を得ないと、5~10年後を見据えた時に状況はさらに厳しくなる」との見通しを述べた。

また、休日割増や深夜・早朝割増の新設の狙いについて、「こうしたケースはほとんどないが、仮にあった場合には、従業員に割増で払わないといけない。しかし、これまではこうした割増の設定がなかったので、お客様からはいただけていなかった」と説明した。

日通の運賃改定を受け、他の通運事業者も追随?

鉄道コンテナ輸送にかかる運賃については、JR貨物(本社・東京都渋谷区、真貝康一社長)が昨年10月に鉄道基本運賃の10%値上げに踏み切ったばかり。これに今回の日通の改定が加わることで、例えば東京都内から大阪市内まで12ftコンテナ1個を運んだ場合のトータルでの運賃は、現行の6万700円から3・6%アップの6万2900円になる。

日通では「今回の改定はあくまでタリフ上の上限運賃であり、実勢では各現場での個別の交渉になる」(小泉氏)としているが、「既存のお客様、新規顧客を問わず、広く理解を求めたい」としている。なお、同社の通運部門における顧客数は約5000社あると言われている。
国内の鉄道コンテナ輸送の約5割の取扱量を持つ日通が運賃改定に動いたことで、今後は他の通運事業者も同様の動きを強めることが予想される。
(2019年7月4日号)


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