倉庫での積み下ろし、負荷増を懸念=日倉協/会見
日本倉庫協会の松井明生会長(三菱倉庫)、富取善彦理事長、柴山恒晴広報委員長(杉村倉庫)は13日の総会後、記者会見し、ドライバー不足を背景にトラックの荷物の積み下ろし作業が倉庫側にシフトすることへの懸念、倉庫業における外国人労働者活用の問題、EC事業者の物流業参入の影響、民法改正への対応など諸課題についての見解を語った。
倉庫業界に負荷が生じない方策が必要
ドライバー不足への対応策として2017年に策定した、「トラック運送業における適正取引推進、生産性向上及び長時間労働抑制に向けた日倉協の自主行動計画」について松井会長は、「業務の範囲として、トラックの貨物の積み下ろしは運転手が行う習慣になっている。海上コンテナのデバンニング、バンニング作業は倉庫側で行うが、これについてはお客様から料金をいただいている。ただ、トラックについてはそういった料金体系になっていない」と説明。
ドライバー不足の深刻化で、「トラック事業者がお客様である荷主に『(ドライバーは)貨物の積み下ろしはやらないので倉庫側でやってほしい』と言っている可能性がある。倉庫業者が積み下ろしの作業を請け負わざるを得なくなると、逆に倉庫作業員の労働負荷が上がることになる。ただ、いままでそうした料金が発生していなかったため、お客様から料金をいただけない可能性がある。倉庫業界として運転手不足の解消に協力したいが、倉庫業界に負荷が生じないような方策、あるいはお客様に理解を得ることが重要」と述べた。
物流の形態変化、長期的には影響も
倉庫業における外国人労働者の活用に対しては、「そもそも技能実習制度は『日本の技術をもって発展途上国の方を教育し、自国で役に立ってもらう』という国際貢献が趣旨であり、労働力不足対策ではない。倉庫の仕事の中に技能実習に即したものがあるかと考えると、技能実習制度が倉庫業に適用されることはまずないと思う」と指摘。一方、4月から導入された新たな在留資格「特定技能」については、建設や介護など人手不足が深刻な14業種で外国人の就労が解禁されており、「なぜ倉庫業が入れてもらえないのかという印象もある」と語った。
また、アマゾンなどEC事業者の物流業進出については「日本ではいままで、メーカー~卸~小売~消費者という物流の流れだったのが、メーカーから直接アマゾンの倉庫に物が流れるようになるなど物流の形態が変わることによって、営業倉庫の貨物が減っていく危機感はある。今のところ営業倉庫の仕事が大幅に減ったということは聞いていないが、ECが増えていくと長期的には影響が出てくるのでは」と指摘。
寄託が要物契約から諾成契約に変わり、定型約款の条文が新設された民法改正の影響については、富取理事長が「まだ何がどう変わると言える状況ではないが、実務的には大きく変わらないのではないか」との見解を示した。
(2019年6月18日号)