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三菱倉庫、医薬品物流データPF「ML Chain」開始

2022.08.25

三菱倉庫(本社・東京都中央区、藤倉正夫社長)はこのほど、医薬品物流におけるサプライチェーンをリアルタイムで可視化するデータプラットフォーム「ML Chain」の運用を開始した。ブロックチェーン技術などを活用することで、すべてのSC関係者が追跡可能なトレーサビリティを実現するとともに、データの安全性も確保し、高度な品質管理を可能にする。

近年の医薬品物流は、2018年12月のGDP(医薬品の適正流通)発出や、希少疾患の治療で使われるスペシャリティ医薬品の増加など、これまで以上に厳格な品質管理が求められている。同社では15年からGDP対応の医薬品保冷配送サービス「DP-Cool」を開始するなど医薬品の安定供給に貢献してきたが、今後ますます多様化・複雑化する医薬品物流においては、これまで以上にSC上の関係者が一体となって高い水準の品質保証と安定供給を維持していく必要がある。

そこで今回、従来の医薬品配送サービスをさらに発展・進化させるべく、データプラットフォーム「ML Chain」を開発。ブロックチェーン技術を活用してSC全体の可視化や高度な品質管理を実現するもので、PF構築にあたっては、IBM社が米国食品薬品局(FDA)のパイロットスタディで構築した仕組みを参照している。ブロックチェーン技術を使うことで、関係者全員がアクセス可能でありながらデータ改ざんができないため、製品が「いつ、どこで、誰の手に渡ってきたか」を関係者全員が追跡できる。また、分散台帳の特性上、一部の障害の影響が全体に及ぶことがなく、データの安全性が確保できる。

まずは、製薬会社の工場、物流センターから医薬品卸倉庫への配送までのメーカー物流の領域において、温度管理や位置情報などSC上の重要情報をリアルタイムで可視化し、クラウド上で共有・把握するためのデータPFとして運用を開始。今後は、メーカー物流領域では国際物流への拡大を図るほか、国内においてはメーカー物流の枠を超えたSC全体の可視化を目指していく。

将来的には、在宅医療の促進などによる患者宅直送型の新たな流通スキームの構築支援も視野に入れながら、様々な流通関係者と連携して、汎用性の高いオープンPFとして運用していくことを見据える。さらに、「ML Chain」に蓄積された様々なデータを分析し、業務プロセスの自動化・省人化や業務負担の軽減を図ることで、SC全体の最適化や持続可能な物流の実現につなげていく。
(2022年8月25日号)


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