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カンダHD/新中計、21年度に売上高480億円へ

2019.06.13

カンダホールディングス(本社・東京都千代田区、原島藤壽社長)は10日、東京都内で2019年3月期決算および今期からスタートした3ヵ年の新中期経営計画「新たな価値の創造~未来への挑戦~」の説明会を開催した。新中計では、ESGを経営の根幹に据えつつ、「業績改善と収益向上」、「人材確保・育成」、「アライアンス構築」、「グループ内整備・強化」、「先端技術導入」の5つをグループ経営方針の具体策に位置づけ、最終年度となる22年3月期には売上高480億円(18年度実績比10・1%増)、営業利益20億2000万円(29・0%増)、経常利益20億円(29・4%増)を目指す。

人事部に「採用・研修課」新設

業績改善と収益向上では、総額5億8400万円の赤字を計上している25拠点の黒字化を図り、利益を底上げする。また、不採算業務は顧客との価格交渉を強化することで、改善に努めるほか、医療や薬品、ヘルスケアなどの収益性の高い既存事業および新規業務に経営資源をシフトする。新規事業への参入では引き続きM&Aを積極的に行う考えだ。

人材確保と育成について、原島社長(写真)は「人の採用ができるかが今後の業務獲得において大きな課題となる」と指摘。人事部に採用・研修課を新たに設置し、新卒採用の見直しと中途採用の強化、研修制度の刷新を図る。同社ではとくに、女性社員の活躍を推進しており、現在、女性管理職は18人に上るが、今後はさらに登用を拡大させていく方針。

アライアンスの構築では、現金輸送を手掛けるCS営業部と金庫メーカーおよびシステムメーカーと共同で入金機の開発を促進するなど物流事業者以外との協業を実施し、新たなサービスの開発を行っていく。

グループ内整備および強化では、グループ会社の分社化を一層加速させ、会社ごとの独自性を構築することで、迅速な経営判断ができる組織を目指す。また、ホールディングスの事務処理部門を切り離し、別会社を設立する方針。「事務処理に特化することで、在宅勤務やフレックスタイム制度など柔軟な勤務体系に対応することができ、協力会社の経理作業をはじめとした事務作業を請け負うことが将来的には可能になる」と原島氏は説明した。

先端技術の導入では、物流現場における自動化技術導入に向けた研究プロジェクトを発足し、進めていく。

中計最終年度には約28億円の投資を予定

同社では、中計3ヵ年で合計59億2100万円の投資を計画しており、このうち最終年度の22年3月期には27億5500万円を予定している。その内訳としては、新しい物流センターの開設に伴う用地取得費用が15億円、車両費が4億5500万円、M&Aを含むその他の費用が8億円となっている。

中計初年度となる20年3月期は、「新時代に相応しい『価値』を高める仕事をしよう」をスローガンとし、グループ会社への権限移譲による経営のスピードアップとコンプライアンスの徹底、働き方改革の推進、収益構造の改善、事故の削減を目指す。

このうち、グループ会社への権限移譲による経営のスピードアップでは、従来、ホールディングスの社長が中核企業であるカンダコーポレーションおよびペガサスグローバルエクスプレスの社長を兼任していたが、今年4月からは同2社に個々の社長を配置し、経営の迅速化を図る。

19年3月期は増収減益

19年3月期の連結業績は、売上高435億8300万円(前期比6・5%増)、営業利益15億6600万円(14・5%減)、経常利益15億4600万円(14・7%減)、純利益7億9000万円(25・9%減)。売上げは、航空宅配や航空輸送をはじめとする国際物流事業が堅調に推移し増収となったが、国内物流施設の再編や人件費および協力会社への傭車費などが影響し、減益となった。

中計初年度となる20年3月期は、売上高440億円(前期比1・0%増)営業利益17億7000万円(13・0%増)、経常利益17億5000万円(13・2%増)、純利益10億3000万円(30・4%増)を見込む。
(2019年6月13日号)


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