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丸和運輸機関、新中計で売上高1300億円へ

2019.06.04

丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)は今期からスタートする3ヵ年の「中期経営計画2022」で、“人財”の確保と育成を今後の機能戦略の柱に位置づけ、新規顧客の獲得や既存取引先の拡大を図る。この3ヵ年で毎年約150億円ずつ売上を積み上げ、最終年度には売上高1300億円(18年度実績比51・9%増)、経常利益は100億円(65・4%増)を目指す計画。和佐見社長は「3年間で約500億円に近い数字を上げることは無謀と思われるかもしれないが、人財の確保を進めれば達成は間違いない」と力を込めた。

食品物流で30年に売上高1000億円

新中計の事業戦略としては、今期から「3PL&プラットフォームカンパニー」を標榜し、3PL事業の領域拡大を推進。単一顧客・単一事業者の業務受託のみならず、複数顧客の物流で標準化したデータやリソースを単一事業者の業務に活用したり、複数顧客の物流を複数の事業者間で共有化したりするようなプラットフォームモデルへとビジネスを広げる。

その上で、事業別の計画としては、EC・常温物流で17年からスタートした米大手通販会社を荷主とする「ラストワンマイル当日お届けサービス」のさらなる基盤構築に向けて、22年3月期までに配送車両を1万台に増強する。このうち、新たな起業家モデル「MQA(Momotaro Quick Ace)」による車両が50%、「AZ‐COM丸和・支援ネットワーク」の加盟会員による車両が25%で、残りの25%は丸和運輸機関の正社員が賄う。MQAのドライバーには720万円の売上保証のほか、売上から17~18%の諸経費を差し引いた金額の7割を最低所得として保証することでドライバーの確保につなげる。これにより、中期計画最終年度に事業売上高619億7000万円(18年度実績比2・1倍)を見込む。

低温食品物流では計画最終年度の目標値を売上高450億円(24・5%増)とした上で、長期的なビジョンとして30年に売上高を1000億円まで引き上げる。食品スーパーマーケットの経営利益を支援する「AZ‐COM 7PL」を中核に、物流・商流利益を創出する、高付加価値サービスを提供。新規顧客の獲得としては現在、兵庫県の大手スーパーマーケットとの事業開始を予定している。また、同社の強みである高品質なコールドチェーンを活かし、海外市場の開拓にも取り組む。

医薬・医療物流では、大手ドラッグストアチェーン店の取扱いが堅調に推移しており、計画最終年度の売上高は219億5000万円(13・4%増)となる見通し。

1年間に500人の新卒採用を計画

事業戦略を支える機能戦略としては、「人財の確保なくしては企業の成長はない」(同氏)との考えから、グループ全体で新卒者を採用する「オールリクルート体制」を推進する。今年度の新卒採用人数は232人だったが、来年度は400人を予定しており、21年度から23年度にかけては毎年500人の新卒者を採用する計画だ。また、採用人数の増加に対応するため、若手の採用担当者を積極的に増強する。

育成に関しては、引き続きグループ社内の「丸和ロジスティクス大学」や年代別による社内外研修を通じ、世代交代に向けた人財育成の強化に取り組んでいく。和佐見氏は「入社2、3年目でセンター長となった人財もいる。また、今回の中計は現場ドライバーを含めた若手が中心になって考えた。若手でも活躍する場が広がっている」と説明した。

19年3月期は2ケタの増収増益

19年3月期の連結業績は、売上高855億9000万円(前期比15・1%増)、営業利益58億1400万円(29・0%増)、経常利益60億4600万円(27・2%増)、純利益39億100万円(28・1%増)。ECラストワンマイル当日お届けサービスの受託エリアおよび車両稼働台数が拡大したことに加え、既存顧客との取引深耕が寄与した。また、低温食品物流では、「AZ‐COM 7PL」に基づく物流改革提案により、新規物流センターが稼働したほか、商品個配事業の伸長が貢献した。

中期計画初年度となる20年3月期は、「人財の確保と育成」、「先端技術の研究と活用」、「新たな市場開発」に注力し、連結業績予想は、売上高1000億円(前期比16・8%増)、営業利益71億7000万円(23・3%増)、経常利益73億円(20・7%増)、純利益46億7000万円(19・7%増)の2ケタ成長による増収増益を見込む。
(2019年6月4日号)


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