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味の素がGW期間中「翌々日納品」、8月から恒久化

2019.03.05

味の素(本社・東京都中央区、西井孝明社長)は今年のゴールデンウィーク(GW)期間中、受注から納品までのリードタイムを延長する。さらに8月からはこれを恒久化し、従来、得意先への納品は最短で受注日の翌日だったのを翌々日とする。加工食品業界では卸など流通への翌日納品が主流だったが、“物流危機”を背景にトラックドライバーの負荷を減らすためリードタイム延長の動きが出始めている。リードタイムに1日余裕が出ることでトラックを確保しやすくなり、長期的には安定供給につながることから、業界全体で商慣習の見直しが広がる可能性がある。

ドライバー不足の解決や労働環境の改善に寄与

近年、繁忙期のトラックの確保が物流業界全体の課題となっており、味の素でも昨年末はトラックの確保が困難な事態となった。さらに今年のGWは4月27日から5月6日まで10連休となり、連休期間前から例年以上にトラックの確保が難しくなると予想されている。

このため、同社ではGW期間中の4月30日と5月2日を配送日に、4月30日を受注日に設定するとともに、GW前の4月15日発注・同17日納品分から納品リード時間を延長する。最短で翌日納品だったのを、翌々日納品とする。8月以降、全面的に移行する。

リードタイム延長の対象となる商品は、「家庭用ドライ商品」「外食用ドライ商品」「加工用ドライ商品」(ケロッグ商品を含む)。チルド商品やローリー・タンクコンテナ納品分は対象外となる。対象エリアは沖縄を除く全国とする。

トラックドライバー不足が深刻化する中、加工食品業界では日清食品が2018年1月から翌々日納品を全国一斉に展開。今年のGWは10連休という特殊事情もあり、加工食品メーカー大手が期間限定的にリードタイム延長を行う予定にある。

味の素ではGW後、いったん通常のリードタイムに戻すものの、8月から恒久的なリードタイム延長を実施する。「業界全体でリードタイム延長が実現されれば、ドライバー不足の解決や労働環境の改善に大きく寄与できる」(物流企画部)としている。

加工食品に限らず繁忙期は物量が集中し、トラックが確保しにくくなることに加え、物量の増加に対し物流センターの要員不足も顕在化。荷下ろしにかかる長時間待機が発生するケースがあり、物量の平準化による負荷の軽減が課題となっていた。

政府はトラックドライバーの労働環境改善に向け、今春から「ホワイト物流」推進運動を開始。2020年の東京オリンピックでは、荷主企業に期間中の配送量・頻度の抑制への協力を求めており、リードタイムを含めた商慣習見直しの機運が醸成されつつある。
(2019年3月5日号)


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