メニュー

江崎グリコが関東〜関西で31ftコンテナをラウンドユース

2019.01.24

江崎グリコ(本社・大阪市西淀川区、江崎勝久社長)は、菓子のサプライチェーンで調達物流と製品物流を組み合わせた31ftコンテナのラウンドユースのスキームを構築した。関東~関西の製品輸送をトラックから鉄道輸送にシフトし、同じ31ftコンテナを工場への原料納品やパレットの回収にも使用することで空回送を削減。環境負荷の低減効果を高めるとともに、トラックドライバーの運行距離短縮により労働環境改善を図った。現在、週1便・1台で運用しているが、対象製品や台数の拡大も検討していく。

ロジスティクス部とグループ調達部が連携

同社は従来から鉄道輸送拡大を模索してきたが、菓子の主力生産拠点である神戸ファクトリー(神戸市西区)と北本ファクトリー(埼玉県北本市)の関東~関西の製品の輸送は、コスト面でトラックに優位性があり、鉄道輸送への切り替えが難しかった。

CSR(企業の社会的責任)の観点から、物流における環境負荷低減に有効とされる鉄道輸送の拡大を模索。製品輸送を担う「SCM本部ロジスティクス部」と調達担当の「グループ調達部」が連携し、製品物流と調達物流を一体化させた、江崎グリコ内部での31ftコンテナのラウンドユースを目指した。

従来、海外から輸入された菓子原料の神戸ファクトリーへの納品、神戸ファクトリーから関東DC(埼玉県戸田市)への製品輸送、北本ファクトリーから関東DCへの製品輸送、北本ファクトリーから関西DC(大阪府枚方市)への製品輸送(幹線)はいずれもトラックで、それぞれが手配していたため帰りは空での運行が多かった。

全国通運、JR貨物とともに新たに構築したスキームでは、神戸市内の原料倉庫から神戸ファクトリーへの原料の納入を31ftコンテナで行い、神戸ファクトリーから製品を積み、吹田貨物ターミナル駅~東京貨物ターミナル(東タ)駅を鉄道輸送。東タから関東DCまで通運車両で輸送し、製品を下ろす。
関東DCから北本ファクトリーまでの区間は、現在、唯一空回送となっているが、シートパレットの工場への回収に利用することで実車化される見込み。北本ファクトリーでは、関西向けの製品を積み、東タ~吹田タを鉄道輸送。関西DCで製品を下ろした後、パレットを積んだ31ftコンテナを原料倉庫へと受け渡す。

ドライバーの拘束時間短縮、労働条件改善も

このように、一部製品についてではあるが、社内で調達物流、製品物流、さらには静脈物流とサプライチェーン全般にわたって31ftコンテナをラウンドユースしている例はあまりなく、空回送をなくすことで鉄道輸送の環境負荷低減効果がさらに高まる。関東、関西の各エリアでトラック輸送が完結するため、ドライバーの拘束時間短縮につながる。

今回の取り組みで、年間で約28tのC02削減と768時間のドライバー運転時間削減を実現。オートフロア、ジョロダー付き31ftコンテナを活用することで、女性や高齢者でも積み下ろしが容易になり、鉄道の定時性を軸としたスケジューリングにより物流特有の不規則性からも解放され、ドライバーの労働環境改善にも寄与する。

これらの成果が評価され、2018年度グリーン物流パートナーシップ優良事業者表彰で「経済産業省商務・サービス審議官表彰」を受賞。現在、常温のビスケットを対象に週1便・コンテナ1台で運用中。今後、チョコレートなど定温品への拡大も検討する。
(2019年1月24日号)


関連記事一覧