メニュー

国交省が隊列走行できる高速道路を検討

2018.12.27

国土交通省は21日、高速道路でのトラック隊列走行の実現に向けた検討会を設立した。主要ルートの6車線化を目指すこととし、今後は3回程度の会合を経た後、来年春頃をメドに、安全で効率的な隊列走行が可能となる高速道路の活用や整備の方針を取りまとめる。
検討会の名称は「新しい物流システムに対応した高速道路インフラの活用に関する検討会」(座長=根本敏則・敬愛大学教授)。中日本・東日本・西日本の高速道路3社と国交省道路局が事務局となり、構成員は学識経験者のほか、日本自動車工業会、全日本トラック協会、京南倉庫からの参加と、関係省庁からは国交省、経済産業省、警察庁から担当者が加わった。
会議の冒頭、国交省道路局の池田豊人局長は、検討会の目的について「トラック隊列走行を実施するために必要となる走行空間や拠点のあり方について検討していく」と述べ、「隊列走行の前提となる高速道路の6車線化についてだが、新東名および新名神の6車線化を今後進めることにしている。7月には新東名の御殿場JCT~浜松いなさJCT145㎞を6車線化する事業が決まった。今後は2年から3年をかけ、この区間の6車線化を進める。こうした整備によって、隊列走行の条件のひとつが整うことになる。今後の整備では、特に新東名を念頭に置きながら6車線化をなるべく早期に実現していく」と表明した。
今後は来年の早期に開催する次回以降は、安全な運行を確保する施設整備の要件や運用について議論を行い、2~3回の検討会を経て、道路の本線をはじめ、分合流部、交通安全施設、隊列の形成や解除を行う物流拠点施設、ドライバーの休憩施設などのハード面での整備方針や、安全を担保する交通マネジメントのあり方を取りまとめる予定。
今回の会議では、事務局が、新東名高速道路や北関東自動車道で実施してきたトラック隊列走行の実証実験や、ダブル連結トラック(フルトレーラ)の普及に向けた実証実験の状況について報告。高速道路においてトラック隊列走行の安全で円滑な運行を実現するために必要な道路空間を確保するため、隊列走行車両の専用となるレーンを設けるためにも6車線化が重要だとした。また、米国カリフォルニア州やフロリダ州、バージニア州の高速道路において、専用レーン利用車両を対象とした専用ランプを設置し、一般車両と混じらずに専用レーンに直接アクセスできるようにした事例などを紹介した。
なお、新東名の6車線化による隊列走行の実現に向けた取り組みは、20日に石井啓一国交大臣を本部長とする自動運転戦略本部の第5回会合でも報告された。
(2018年12月27日号)


関連記事一覧