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外国人労働者の受け入れは動向を踏まえ対応=日冷倉

2018.12.13

日本冷蔵倉庫協会(大谷邦夫会長)は10日、年末記者会見を開き、大谷会長(ニチレイ)ほか、河合弘吉総務委員長(河合製氷冷蔵)、西願廣行業務委員長(フリゴ)、松田浩環境・安全委員長(ニチレイロジグループ本社)、大石竜司税制補助金特別委員長(アイセン)が重点活動について説明した。

大谷会長は今年の自然災害を振り返り、「台風21号によって大阪・南港地区のいくつかの冷蔵倉庫では大きな被害が発生し、まだ完全に復旧できていないところがある。災害発生時にはつながりを持った『共助』が大事で、協会でも災害等への非常時対応を重要な活動として進めていく」と述べた。

業界の荷動きについて「全体として堅調に推移し、3月に営業再開した東京団地冷蔵も順調な滑り出しで、12都市の在庫量を見ても5月から大きく増加している」と報告。「トラック待機時間問題に対する冷蔵倉庫の自主行動計画―今すぐにでも取り組めること、予約システムについて―」、HACCPの考え方を取り入れた「食品衛生法改正に伴う衛生管理計画書」作成の手引きなど今年度冊子として作成した成果物を紹介した。

労働力不足にも触れ、外国人労働者の受け入れの議論では「(新たな在留資格の)指定業種に冷蔵倉庫業を加えてもらうかどうか、協会内では本格的な検討がされておらず、今後受け入れ拡大がどのように進んでいくのか、問題や利点といった動向を踏まえ対応していく」とした。また、IoTやAI等の活用による省人化についても「できる限り進めていかなければならない」とし物流サービスの高度化へのサポートに意欲を見せた。

河合氏は冷蔵倉庫業界の動向として「設備トン数1万t以上が7割を占め、大型化が進んでいる。川崎地区がとくに伸びており、10年前と比べ6割ほど設備トン数が増加している」と指摘。西願氏は「食品衛生法改正に伴う衛生管理計画書」について「営業許可要件ではないが、許可を得た事業者はこの計画書に基づいて衛生管理を行わなければならない」と説明した。

松田氏は、「保管トンあたりの電力使用量は減っているが、料金は10年度比で38%上昇した14年度をピークに減少しているものの、昨年は上昇に転じた。電力コストの上昇は経営に直結し、さらなる省エネ化が必要」と強調。脱フロン・低炭素社会の早期実現に向けた自然冷媒機器導入加速化事業について「昨年度の採択会員事業所が38事業所に対し、今年度は補正予算分を合わせ33事業所だった」とし、冷蔵倉庫事業者への補助充実への期待を示した。

また、フロン(R22)再生利用事業に関し、「6割強が2020年に生産廃止されるHCFCを冷媒に使用しており、安定して事業を継続するにはフロン冷媒の確保が重要」と再生利用事業の意義を説明。大石氏は、物流倉庫振興推進議員連盟に2019年度予算編成・税制改正要望として、省エネ型自然冷媒機器等省エネ設備・危機導入補助や冷蔵倉庫事業者への非常用発電装置導入への補助を求めたことを報告した。

質疑応答では、外国人労働者受け入れ問題について、西願氏が「都市部や流通型の冷蔵倉庫の会員からは、業種指定に向け積極的に活動してほしいとの意見がある。全体としては、受け入れ後のフォローを含めいまはまだ早いのではと思っている」と回答。衛生管理計画書について「できるだけ設備投資の必要のない方法を主眼に置いており、ハード面での投資はそれほど要らないのでは」と述べた。
(2018年12月13日号)


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