国交省がダブル連結車両の解禁、1月に前倒し
国土交通省は、1台で大型車2台分の輸送が可能なダブル連結トラック(21m超のフルトレーラ)の導入拡大に向け、来年1月にも特車許可基準の車両長の制限を現行の21mから25mへ緩和する方針を固めた。実施中の新東名高速道路での実証実験を踏まえ、来年3月までに規制を緩和する予定だったが、1月に前倒した。
国交省は深刻なドライバー不足に対応し、トラック輸送の省人化を図るため、2016年に同省を中心に高速道路3社、神奈川・静岡・愛知の各県警、日本高速道路保有・債務返済機構で構成するダブル連結トラック実験協議会を立ち上げ、実証実験をスタート。トラック運送事業者では日本梱包運輸倉庫の参加を皮切りに、17年にヤマト運輸、福山通運が実験に加わり、今年3月には西濃運輸も参加。現在4社による輸送実験が行われている。
日本梱包運輸倉庫が21mフルトレーラで参加した後、ヤマト運輸、福山通運、西濃運輸の3社が25mフルトレーラを活用。大型車両の走行が幹線道路に与える構造上の影響をはじめ、交通の流れ、周辺車両への影響、CO2排出量などのデータ検証を行ってきた。来年1月の規制緩和は新東名に限定して実施することとしているが、一部区間が開通していないため東名を併用する形となる。
当面は、国内の貨物輸送量の多くを占める新東名で規制緩和を実施するが、運行状況などを踏まえながら、東北道・関越道・九州道など大都市圏と結ぶ主要な高速道路にも対象を拡大することを視野に入れる。今後はSA・PAでの駐車マスの整備などを推進するなど、大型車両の円滑な運行に向け、インフラ面の環境整備を進めていくこととしている。なお、カーブが多く渋滞が発生しやすい首都高速・阪神高速など都市部や、片側1車線の地方高速道路は緩和の対象から除く考え。
現在、国内貨物輸送の約9割をトラックが担う中で、厚生労働省が発表したトラックドライバーを含む自動車運転者の8月の有効求人倍率は2・98倍、新規求人倍率は3・59倍と高止まりとなり、他業種の2倍近い厳しい求人難が続いている。今年の夏以降、豪雨や台風の影響による幹線輸送網の混乱が続き、トラック輸送の省人化は喫緊の課題となっていた。
(2018年10月25日号)