メニュー

楽天が「ワンデリバリー構想」重要性示す

2018.08.09

楽天(本社・東京都世田谷区、三木谷浩史社長兼会長)は6日に開いた2018年12月期第2四半期の決算説明会で、同社の事業戦略における「ワンデリバリー構想」の重要性を改めて強調した。説明に立った小森紀昭・執行役員コマースカンパニーロジスティクス事業ヴァイスプレジデントは「物流については(出店企業に対して)可及的速やかな対応が求められており、(当社の求める)品質に合った3PL会社などの地域の物流会社と協力して一気通貫の仕組みを作りたい」と意欲を示した。

ワンデリバリー構想は、楽天市場の出店店舗に対して商品の注文から保管、配送に至る一連の物流支援を行うサービス構想。同社が注力分野に掲げる「EC」「通信」「FinTech」のうち「EC」事業を支える重要なインフラと位置付け、全国10ヵ所に高機能型物流センター「楽天フルフィルメントセンター(RFC)」を立ち上げるなど大型の設備投資も計画。先月17日には、千葉県流山市と大阪府枚方市でのRFC開設を発表している。

決算説明会では、同構想について改めて説明があり、ユーザーにとっては「欲しいときに欲しい物を“一”度で受け取れる」とともに店舗に対しては「注文からお届けまで“一”気通貫」で支援。その実現に向けて楽天は「外部企業とも協力し、物流を“一”元管理する」とのコンセプトを示した。とくに、ユーザー側では楽天市場内の多様な店舗の商品を同一梱包でまとめて受け取れるようにするなど「今までにない物流にチャレンジしたい」(小森氏)と紹介した。

その一環としてラストワンマイルネットワーク(「Rakuten-EXPRESS」)の構築にも着手しており、配送網の整備に加え、コンビニやロッカーなどのピックアップ場所の多様化や「置き配」への対応、配送通知と自宅外受取日時・場所指定の実現など柔軟なメニューを用意する予定。これらの物流効率化と顧客満足を高め、店舗の物流に関する課題を軽減し、「物流のバリューを提供するサービスを作っていく」とした。

また、6日には決算発表と合わせて会社分割による組織改編も発表したが、その理由についても、楽天エコシステム(経済圏)のさらなる拡大に向けてワンデリバリーなど新たなビジネスポートフォリオの構築を推進する中で、「機動的かつ柔軟な意思決定と業務遂行を可能とするグループ体制への移行が最適と考えた」(同社)。第2四半期の連結業績においては、国内EC事業は好調であるものの、配送コスト増が利益を圧迫する要因となった。

同社では10年に「楽天スーパーロジスティクス」をリリースし、物流拠点増設による債務超過などで一旦は同事業を縮小していたが、小森氏は「私も6年前に担当しており、基本的なコンセプトは当時と変わらない。ただ、店舗やユーザーのニーズがより明確になっており、きちんとオペレーションすれば、必ず成功すると確信している」と自信を示した。
(2018年8月9日号)


関連記事一覧