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鴻池運輸がインドでハイブリッドメディカルセンター構想

2018.07.19

鴻池運輸(本社・大阪市中央区、鴻池忠彦社長)は、インドで医療関連製品の物流管理と滅菌・洗浄メンテナンス等の高度な医療関連サービスを融合させた「ハイブリッドメディカルセンター」構想を推進する。同国で医療関連製品のサプライチェーンのプラットフォームを整備し、日系医療関連メーカー・卸の進出を後押しする。日本の高度な物流管理と医療関連サービスを輸出し、インドの医療の近代化に貢献する。

データベース構築、サプライチェーンのPF整備

インドの病院では複雑な流通事情や病院内の物流管理体制に課題を抱えており、物流品質の改善や効率化が求められている。鴻池運輸ではインドの医療の発展に寄与するため、2013年11月にCARNA MEDICAL DATABASE Pvt.Ltd.(カルナメディカル)を設立。物流に先行し、インドの病院の物流管理の“基礎”となる医療関連製品のデータベース構築を進めている。
医療関連製品に関する情報を標準コード化したものを「全インド医療材料総合カタログ」とし、17年8月に発刊した第2版には約127メーカー、3万8000アイテム以上を収録。インドの約8000の病院・医療機関および卸売業者に順次配布している。このデータベースを基に、病院~卸~メーカーで電子受発注が行えるような新たな医療物流ネットワーク構築を目指す。
天野実執行役員メディカル事業本部本部長によると、インドの病院では流通過程における偽物の混入、盗難のほか、「発注先が膨大でかつ届くまでに時間を要する」といった課題がある。また大都市と地方都市の病院と医療のレベルに格差も見られる。これらを解消するために提案するのが、日本の“センター納品”方式だ。

メディカル事業のノウハウを結集したビジネスモデルへ

具体的には、CARNAの医療関連製品データベースを実装させた「高付加価値医療センター構想」を日本、インドのパートナー各社とともに推進。セキュリティを完備したセンターで医療関連製品を一元管理し、電子受発注に基づき出荷、医療専用車両で短納期で病院に届けることを想定する。滅菌・洗浄メンテナンスや検査・実験室の設置、健診機材や高額検査機器等のシェアリング拠点としての活用も視野に入れる。

鴻池運輸では、医療機器の輸入から配送までの一貫物流や病院内物流業務、検体輸送や滅菌代行までメディカル事業を幅広く手掛ける。病院内物流業務の請負では現在600病院に1600人を投入。サプライチェーンの“川下”である病院側の実態や要望をベースとした物流センター設計、物流管理の提案力に強みを持つ。「高付加価値医療センター構想」はこれらのノウハウを結集したビジネスモデルと位置付けられる。

また、メディカル事業のグローバル展開ではインドが先行しており、昨年から、国際臨床検査事業などを手掛けるJ‐VPDと共同で、日印間で航空便を利用した国際検体輸送サービスを推進。2017年度に続き18年度も、両社が「インド国における国際検体事業実現に向けた技術研修」実施機関として認定され、臨床検査事業におけるインドへの医療貢献も目指している。

日本の医薬品・医療機器の物流センターで運用する「ABC‐Naviオリジナル分析システム」のインドへの横展開にも期待を寄せる。作業者の生産性を正確に把握し、評価に役立てるとともに、リアルタイムに作業進ちょくを把握し、機動的な人員配置を行える。アパレル、機械の物流センターにも展開しているが、「全体と個人の両方の生産性に着目したシステムで、インドで導入すれば生産性が飛躍的に上がる」(天野氏)と見る。
(2018年7月19日号)


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