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スズケン、埼玉・草加に複合型物流センター稼働

2024.03.19

スズケン(本社・名古屋市東区、浅野茂社長)は13日、新たな物流拠点「首都圏物流センター」(埼玉県草加市、写真)の稼働式を行った。卸物流拠点としての機能に加え、メーカー物流機能、製造受託機能を兼ね備えた医薬品卸業界初の複合型物流センターとなる。従来は各地の拠点に分散していたそれぞれの機能を1拠点に集約することで配送リードタイム短縮などを実現。マテハン機器導入により庫内作業の90%以上を自動化する。設備投資額は約200億円となる。4月15日から出荷を開始する予定で、今後は大阪と名古屋でも同様の複合型センターの開設を検討していく。

医薬品メーカーの日本参入を一気通貫で支援

「首都圏物流センター」は、「プロロジスパーク草加」(写真)の2~3階に開設し、延床面積約6万6450㎡。東京都23区内と埼玉県全域、および千葉県東葛エリアを配送対象地域としており、支店などを経由しないダイレクト納品を可能としている。システム管理は日本電気(NEC)が担当し、庫内の運営はトランコムが担う。稼働式で浅野社長は「新拠点は今までにないコンセプトを持ったセンターとなる。自動化による省人化や機能集約による輸配送コストの低減、リードタイムの短縮、CO2排出量の削減など様々な効果が期待できる」と自信を覗かせた。

新センターには多くの最新自動化機器を導入したことで全庫内作業の90%以上を自動化。従来拠点と比べて作業者を約3分の1程度まで削減しつつ、約2・5倍の処理能力を実現し、1時間あたりオリコン3000個分、1日あたり9万5000行の出荷能力を持つ。一連の設備投資に約200億円を投じており、浅野社長は「経営的には重たい判断だったが、最少人数で拠点を24時間稼働して、確実な納品を実現するためには不可欠な投資だった」と説明した。

拠点内には、2021年4月に業務提携契約を締結した武州製薬が製造業務受諾エリア「草加パッケージングセンター」を昨年11月に開設済みで、医薬品の二次包装を中心とした受託製造および保管業務を行う。浅野社長は「同社との協業を通じて、日本市場への新規参入を目指す外資系医薬品メーカーを対象に、スペシャリティ医薬品の製造販売コンサルティングや輸入、検査、製造、メーカー物流による保管および卸流通、市販後調査などにワンストップで対応する」と述べた。

今後の拠点展開については「大阪や名古屋にも複合型センターの開設を検討しており、同エリアの支店の大半を集約できるくらいのダイナミックな展開を考えている」と語った。

業界初のピースピッキングロボットを導入

当日は内覧会も開催され、庫内の様子をメディアに公開した。トラックバースには入荷口を空気で膨らませ、冷蔵トラックの後部扉と密着させることで隙間を防ぎ、荷降ろし時の温度逸脱を防ぐ「ドックシェルター」を整備。厳格な温度管理が求められる医薬品の品質管理に対応し、今後は全物流拠点への導入も視野に入れる。入荷管理や棚卸作業はAIを組み込んだOCR(光学文字認識技術)によって自動化した。

パレットで入荷された製品はダイフク製のデパレタイズロボットがパレットからコンベアへ移し、製品はケース自動倉庫へ運ばれて入庫される。計2台を整備し、1台につき1時間で330個の荷物を処理できる。

出庫作業では、ピッキング業務にダイフク製のピースピッキングロボットを21台導入しており、同タイプのロボットの採用は医薬品卸業界として初。高頻度で出庫される製品に対応し、全台合わせて1時間あたり6000件のオーダーを処理できる。ロボットによるピッキングが難しい製品や出庫頻度が低い製品は、作業員の歩行をなくした定点ピッキングエリアで人の手によってピッキングされる。ピッキングされた製品はパッキングステーションで一時保管された後、納品伝票と一緒にオリコンに移し替えられ、検品後に出荷エリアへ運ばれる。

出荷エリアはバラ用とケース用に分けられており、バラ用ではバラ製品を詰めたオリコンが配送担当者別に仕分けられ、段積み機によってドーリーに積み付けられる。ケース用ではパレタイズロボットが製品を梱包した段ボールをカゴ台車に積み付けていく。製品を積み付けたドーリーやカゴ台車は、NECが開発した「協調搬送ロボット」が出荷口まで自動で搬送。2台1組で台車を挟み込む形で運び、構内の天井に設置した380台のカメラがロボットの周辺状況を認識し、動作を管理する。
(2024年3月19日号)


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