楽天とビックカメラが楽天市場に共同で家電ECサイト
楽天(本社・東京都世田谷区、三木谷浩史社長)とビックカメラ(本社・東京都豊島区、宮嶋宏幸社長)は11日、「楽天市場」内に家電ECサイト「楽天ビック」を新たに開設した。同サイトでは今夏をメドに、ビックカメラの配送網を活用した、東京23区内への当日配送サービスなどもスタートさせる。同日都内で開かれた記者会見で三木谷社長は「ビックカメラ店舗での商品受取や家電の設置サービスなど、ビックカメラのオフライン機能との連携を積極的に進めたい」と意欲を示した。
楽天の顧客基盤とECノウハウといった「オンライン」機能と、ビックカメラの商品力や配送網など「オフライン」機能の強みを融合した共同事業を展開することが狙い。とくにビックカメラの配送網やアフターサービスを活かし、「楽天ビック」では15時までの注文商品を同日内に届ける当日配送や、購入時に商品の組み立て・設置工事をスムーズに依頼できるサービスの実装を予定している。
また、6月以降には、楽天ビックで購入した商品を全国47店のビックカメラ実店舗で受け取ったり、店頭在庫をサイト上で確認して店舗で取り置きしたりするサービスも順次展開。ビックカメラの既存ECサイトでは、既に店舗受取サービスを実施しているが、「毎月数万単位での利用がある」(秋保徹・ビックカメラ常務執行役員EC事業本部長)と好評で、オンラインからオフラインへの送客にも繋げる。
これに伴い、ビックカメラの物流拠点体制も見直す。同社では現在、埼玉県と千葉県に在庫倉庫を持つが、小型・小物商品から、楽天の神奈川県相模原市の物流センターへ段階的に在庫を移す計画。さらに、「第2ステップ」として他の楽天市場出店企業も、配達にビックカメラの配送網を利用できるよう検討する方針にある。
「楽天ビック」ではこのほか、ビックカメラ実店舗の商品在庫を確認できる機能の追加や、実店舗で「楽天ポイントカード」の利用および支払いに対応していく予定。また、「楽天ビック」としての独自商品の開発にも着手する。
国内家電市場は約7兆円に上るものの、EC化率は29・9%、家電EC市場の成長率も6・3%(2013~16年の平均)に留まっている。「本来もっと伸びる市場」(矢澤俊介・楽天執行役員楽天市場事業長)だが、ネット購入を断念した理由としては「実際に見て購入したい」「配送設置が不安」などが上位にあり、「楽天ビック」でビックカメラの実店舗と連携することで、これらの課題を払しょくする。
会見では、ビックカメラの宮嶋社長も「当社コールセンターにも店舗での商品展示の有無に関する問い合わせが多く、ネットと実店舗の強みを一緒に提供していきたい」と期待を寄せた。
(2018年4月17日号)