【トラック輸送】国交省/さいたま市が災害時物資輸送訓練を実施
国土交通省は11日、さいたま市と共同で、首都圏直下地震を想定したプッシュ型による支援物資輸送訓練を実施した。さいたま市と2016年に災害時に支援物資輸送拠点として協力する協定を結んだ佐川急便(本社・京都市南区、荒木秀夫社長)と埼玉県トラック協会(鳥居伸雄会長)陸上自衛隊が共同参加した。大規模地震が発生後、埼玉県熊谷市に設けられた埼玉県広域物資輸送拠点から、さいたま市内の4ヵ所の避難所まで、佐川急便さいたま営業所を2次輸送拠点として活用して支援物資を輸送する訓練を行った。また、物資輸送の実動訓練とともに国、埼玉県、物流事業者間で支援物資輸送の情報伝達訓練も実施した。
輸送訓練では、トラックによる一貫輸送とともに、国道17号線が不通となった場合を想定し、陸上自衛隊のヘリコプターを活用した空輸も実施した。
トラックの一貫輸送訓練では、広域物資輸送拠点から供給された支援物資(毛布80箱、紙おむつ25箱、排便袋25箱)がトラック輸送により2次輸送拠点の佐川急便さいたま営業所へ届けられ、同所内で4避難所向けに仕分けを行い、トラックに積み込んだ。空路利用の輸送では、陸上自衛隊のヘリコプターが広域物資輸送拠点からアルファ米80箱を空輸し、同所で仕分けを行い、トラックに積載。2方向から輸送された支援物資を佐川急便の2tトラック4台が避難所まで輸送した。
訓練終了後、国交省の重田雅史物流審議官が講評を行った。重田氏は「熊本地震発生後の支援物資輸送を実施した際の課題として『物資の集積拠点の不足』『支援物資を円滑に届けるための物流ノウハウの不足』『国・県・市の支援オペレーションの指揮系統の錯綜』などがあった」と説明し、「今回の訓練では佐川急便の協力により同社施設を2次輸送拠点として活用することで円滑な支援物資輸送の訓練が行えた」と述べ、「物流事業者のプロの知見を自治体の防災施策にビルトインし、災害支援体制を構築することが必要となる。今後も、国、県、市、民間事業者が呼吸を合わせ、訓練の練度を高めていくことが重要だ」と評価した。
(2018年1月16日号)