【EC物流・軽貨物便】丸和運輸機関が20年までにEC宅配車両1万台へ
丸和運輸機関(本社・埼玉県吉川市、和佐見勝社長)は2020年までに、EC宅配事業の配送車両台数を1万台へ拡大させ、EC会社から受託する配送センターも東京23区を中心に200ヵ所へ増やす。現在は1000台超が稼働するが、独立開業を支援する宅配ビジネスモデル「Quick Ace(クイックエース)」で若者を中心にドライバーを募集し、まずは来年3月までに1500台体制へ増車する。
「クイックエース」は軽貨物便ドライバーの独立開業を支援するビジネスモデルで、年間720万円(月額60万円)の売上保証を設けることが大きな特徴。車両1台当たりの経費を16~17%と見ると実際の手取り額は最低500万円超となり、「売上1000万円以上、手取り額800~900万円も十分可能な計画」と和佐見社長は話す。開業に際しても、資金は丸和運輸機関が全て負担するとともに、開業前の研修制度や開業後のバックアップサービスを充実させてサポートする。
宅配業務はドライバーの配達効率が収益性にも直結することもあり、1日9時間拘束・8時間労働を厳守するとともに、体力がある20代を中心とした若年層の人材確保を図る。
上期事業は「少し無理があった」
EC宅配事業は今期から米大手通販会社を荷主とする当日配送サービスを開始したが、先行投資が嵩み、18年3月期上期決算における減益要因のひとつとなった。荷主である米大手通販会社と当初、7月20日より配送業務を開始する予定で打ち合わせていたが、宅配会社がサービスから撤退したことで急遽6月第1週のスタートとなり人員や庸車の確保などで費用が掛かった。和佐見社長は「準備不足で、少し無理があった」と振り返る。
その上で、下期は「プロとして立ち上げたセンターは6ヵ月で黒字化する」として利益が回復する見通し。売上高のトップラインについても「車両1台の売上規模を2~3万円と見ると、全く心配していない」とした。
EC宅配事業における運賃の収受状況は、宅配業界の動きもあって「環境は良い」という。とくに米大手通販会社とは従来の委託先とは異なる契約方針へ見直しを提案。これまでは個建運賃の“丸投げ型”だったが、センター開設費用の一部を含め、付属する料金をトータルで請求している。さらに、管理面でも“丸投げ”ではなく丸和運輸機関が日次報告を行うことで通販会社とともに品質を管理する体制とし、「トラブル発生時に運送会社へ丸投げするのではなく、双方が責任を持って品質を一緒に作り上げることで客単価の上昇につなげる仕組みを構築している」ことを強調した。
(2017年11月28日号)