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PI会議/化学品WG、関東・東海で共同物流実現へ実証

2024.06.18

経済産業省・国土交通省の「フィジカルインターネット実現会議」内の「化学品ワーキンググループ(WG)」は、関東・東海地区における共同物流実現に向けた実証実験を9月から12月にかけて行う。WG事務局を務める4社(三菱ケミカルグループ、三井化学、東ソー、東レ)の輸送データをもとに、デジタル技術を用いて、トラック・貨物の動態情報を共通のデータフォーマットに集積することで、積載率、稼働台数、混載率などを可視化。最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームの構築を目指す。

実証実験は千葉県市原市と三重県四日市市を中継地点として行う。4社の輸送について、ケースA(四日市~市原~東北)、ケースB(北陸~名古屋)の2つのモデルを設定し、片道輸送の集約など共同輸送を開始し、トラックドライバーに貸与したスマートフォンタイプの端末から、トラック・貨物の動態データを収集。デジタル技術と「物流情報標準ガイドライン」も活用しながら、データを共通のデータフォーマットに収集したうえで、積載率、稼働台数、混載率などを可視化し、分析する。分析結果をもとに、物流会社の協力を得て、最適な輸送に向けた共同物流のためのプラットフォームを検討する。

今回の実証実験では、デジタル技術導入や標準化手法について、経験を有するベンダーから支援を受けるほか、政府の助成金も一部活用する計画で、2025年1月をメドに検証報告を化学品WGで行う予定。収集したデータは、共同物流だけでなく、平行して検討している荷待ち・荷役時間の削減など政府のガイドラインに示された荷主事業者で実施が必要な13項目を中心に、鉄道や海上輸送などへのモーダルシフト、幹線やエリア集荷・配送などの物流協力、資機材・コードの標準化やペーパーレスなど物流デジタル化に活用する。将来的には、日本全国に展開可能な輸送モデルの構築を目指し、物流におけるGHG削減や持続可能な物流の実現を通じて、日本の化学産業のサステナビリティに貢献する。

「物流の2024年問題」が象徴するように、物流の輸送・保管能力不足は、化学業界にとって深刻な課題となっており、30年には営業用トラックの輸送能力が34%不足すると試算されている。化学品物流は貨物の物性・梱包形態・重量などの特殊性により、輸送方法・条件が多岐にわたり、互いが発荷主・着荷主という関係性があることから、個社単位での課題解決には限界がある。これまでのメーカー主導による共同輸送でも、各社が保有するデータフォーマットが異なるため、分析が難しく共同プラットフォームの実現は困難だった。こうした問題の解決のため、化学品ワーキンググループ事務局4社の輸送データをもとに、共同物流に向けた実証実験を行うことにした。
(24年6月18日号)


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