ウーバーイーツ/三菱電機ほか、東京・日本橋でロボット配送開始
Uber Eats Japan(本社・東京都港区、中川晋太郎代表)、三菱電機(本社・東京都千代田区、漆間啓社長)、自動運転ロボットの開発を手がける米Cartken社の3社は5日、自律走行ロボットによるフードデリバリーサービスを東京・日本橋エリアで6日から開始すると発表した。配達員不足への対応を見据えた取り組みとなり、ウーバーイーツによるロボット配送サービスの提供は米国に続き2例目。今後は利用状況に応じて運用エリアや協力加盟店の拡大を進めていく。
今回のサービスでは、注文者がウーバーイーツの専用アプリを通じて協力加盟店の商品を注文する際、ロボットによる配送の可否を選択する。ロボット配送が了承されると、デリバリーロボットが店舗まで走行し、店員がロボット内部に商品を格納する。デリバリーロボットが配送先まで近づくと注文者にアプリ上で通知し、注文者は外で商品を受け取る。サービスは平日の10~17時まで提供。現在の協力加盟店は2店舗だが、今後は順次拡大を予定する。
配送には、Cartken社が設計・開発したデリバリーロボットを使用。高度なAIモデルやアルゴリズムによる物体検知機能、遠隔操作機能などを備えており、三菱電機が日本の道路交通法やロボットデリバリー協会が策定した安全基準に適合させたうえで運用する。車体は長さ71×幅46×高さ60㎝で、最高時速5・4㎞で走行できる。内部には断熱性がある積載スペースを備え、配達中も料理を適切な温度に保つ。最大容量は27 ℓで、最大積載重量は20㎏を想定。安全確保においては、自動停止機能や緊急停止ボタンを備えているほか、走行時にはライトや音声によって周辺の通行人などに周知。加えて、オペレーターによる遠隔監視も行われる。
同日には日本橋で、実際に商品を配送するデモンストレーション走行をメディアに公開した。デモ走行では、注文を受けたデリバリーロボットがビルを出発。通行人を回避しながら歩道を走行し、受け取り先のとんかつ専門店で商品を受け取り、往路と同じルートを走行してスタート地点のビルまで戻った。デモ走行時には雨が降っていたが、多少の雨や雪であれば配達が可能であるため、配達員が少ない悪天候時の配達も担うことができる。
将来的には過疎地などでの運用も視野に
同日に都内で行われた説明会で、Uber Eats Japanマーケットオペレーションディレクターのアルビン・ウー氏は、ロボット配送サービスの実施エリアに日本を選んだ理由として「今後の宅配需要の継続と拡大の面から、日本が当社にとって非常に重要なエリアであることに加え、歩道の整備が行き届いているなど、インフラが優れていることから、ロボット配送を展開しやすかった」と説明。そのうえで「将来的には、店舗が少ない地域や過疎地でもサービスを活用してもらえるようにしていく。『2024年問題』といった人手不足の解消につながる手段として、ロボット配送はますます重要になる」と語った。加えて、海外の競合他社が次々と日本の市場から撤退している件にも言及し、「日本の市場で7年にわたりビジネスを展開し、成長を続けてきたが、今回のロボット導入でさらに配送の可能性を広げるとともに、配送ネットワークの構築につなげていく」とした。
また、三菱電機開発本部先進応用開発センターの田中昭二センター長が「今後は関係会社と連携してサービスの提供エリアを拡大するとともに、様々な事例や荷物に対応できるようにしていく。たとえば、薬品工場内での危険物搬送に利用して従業員の安全を確保するなどのケースが考えられる」と述べた。
(2024年3月12日号)