JR貨物、「メディカル鉄道コンテナサービス」開始
JR貨物(本社・東京都渋谷区、犬飼新社長)は13日、医薬品や医療器具など高度な輸送品質が求められるメディカル分野での鉄道コンテナ輸送の利用拡大を目指し、「メディカル鉄道コンテナサービス」を開始すると発表した。JR貨物がコーディネーター役を務め、温度管理コンテナの所有者や利用運送事業者と連携することで、鉄道へのモーダルシフトを進めたい医薬品メーカーなどにパッケージ化されたサービスを提供していく。
医薬品や医療機器などメディカル分野の輸送は、現在トラック輸送が主流となっているが、「2024年問題」やカーボンニュートラルへの対応などから鉄道輸送に期待が集まっている。一方、鉄道を利用するにあたって、問い合わせ窓口が分からない、輸送中の振動や温湿度の管理など安全性の確保に懸念を持っている医薬品メーカーなども多いのが実状。そこで、JR貨物と定温コンテナの保有者(レンタル・リース事業者)、鉄道利用運送事業者がチームとして連携することで、輸送品質面の課題などについてソリューションを提供していく。
具体的には、JR貨物の鉄道ロジスティクス本部内にある総合物流部内にコーディネートチームを立ち上げ、ニーズに応じたコンテナ(定温、保冷、防振など)の調達や、利用運送事業者と連携した集配を含む一貫輸送に対応する。医薬品のGDP(適正流通基準)にも対応したサービスを提供していく。同日に行われた記者会見で犬飼社長は「お客様がコンテナや利用運送事業者を別々に調達するのではなく、当社がコーディネーターとなってニーズに応じてパッケージ化された商品をつくっていく」と述べた。
JR貨物と武田薬品工業、三菱倉庫の3社は、今年10月から北東北地区の特約店向けの医療用医薬品の輸送を一部鉄道コンテナにシフト。現在、東京~盛岡間を1日あたり12ftコンテナ1個を輸送している。今後はこうした事例を水平展開していくことで、メディカル分野の鉄道輸送を拡大していく。
(2023年12月19日号)